たとえ罪に呑まれても (ページ23)

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「はい、どーぞ。」
「ありがと。」

ふっかに俺と同じ酒を出された女は割と強い酒なのに水のように呑む。

「あはは、すげぇ呑みっぷり」
「ほんとー？私、お酒大好きなんだよね」
「てか、逆ナン？」

「そんなとこ。」

そう言って笑う女は見た目は正反対なAと少しだけリンクした気がした。
ふっかは口パクで俺に知り合い？って聞いてくる。
生憎、俺にはこういうタイプの女の知り合いは居ない。
小さく横に首を振った。

「ねぇおにーさん、名前なんて言うの？」
「俺？ひかる。照って書いてひかる」
「ひかる。おにーさんにピッタリだ」

ちゃんと俺の目を真っ直ぐ見て話す目の前の女。

「そっちは？」
「私？私はさくらって名前。」

「へぇ」

「ちょっとは興味持ってよ！」

ケラケラ笑いながら俺の背中をバシっと叩くこの女は一体何者なんだ。
そしてなんで俺はふっかの店でこのご時世逆ナンしてくる女と酒を呑んでんだ。

ふっかはチラチラと俺を見る。
助けを求めて目を合わせたらお得意の舌ペロ。
ため息が零れる。

「ねぇ照はさぁ」

普通に今までそう呼んでたかのように俺の名前を呼び捨てする女。

「なんでそんな死にそうな顔してんの？」

死にそう？俺が？
そんなわけねぇよ。
ただ、今日見たあの場面が頭からこびりついて離れないだけだ。
…ただそれだけ。

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