たとえ罪に呑まれても (ページ12)

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「はい」

コーヒーの入ったマグカップを渡せば小さく、ありがとうと言われ。
隣に座るのは違うと思い俺はラグに座る。

「照くん。変わってないね」
「別に。年相応だよ」
「優しい所。昔から変わってない」

Aはずるい所が変わってねぇな。って思わず言いそうになったが俺はコーヒーを流し込んだ。

「婚約してた彼、浮気してたんだぁ」
「…………」
「ずっと気付いてた。浮気してたの。」

「…なんで、言わねぇの？」

「なんでだろ。好きじゃないのかな？」

そんな苦しそうな笑顔で俺を見るな。
Aはマグカップをテーブルに置いて立ち上がる。
俺はそれをじっと、見ることしかできない。

すとん、と俺の隣に座る。
そして…俺の腕を掴んで、

やめろ。言うな。
頭の中でそう警報が鳴った。

「私を抱いて」

真っ直ぐ俺を見てそう言い放った。
Aはふざけてなんかない。
彼女のくれた言葉は俺を苦しめるには充分な言葉。

ずっと、ずっと、
この人が忘れられなかった。

だから…これくらい許してくれよ。

って、誰に許してもらいたいんだ俺は。
神様？仏様？浮気してる男？誰だ？

「戻れねぇから」

俺の言葉にAは頷いた。

Aの腕を引いてそのまま寝室へと連れ出した。
もう、止められない。

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