在りし日に ページ8
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幸せな家庭だった。
母がいて、父がいて、妹がいる。
妹はまだ小さくて、面倒を見るのが楽しかった。
何をするにも一緒で、その小さな手で私の手を握って歩いているのが可愛らしかった。
母の作るご飯は美味しくて、父が教えてくれる神社の歴史は面白くて。
私たちを愛してくれているのだと伝わってきたし、私も心から家族を愛していた。
誰もが憧れる家族の形で、自慢できる家族だった。
"それ"が訪れたのは突然だった。
「お母さん、なんか動物が出てくるようになった!」
「動物?……それ、式神じゃないの?」
「式神って、お父さんが教えてくれたやつ?」
「そうよ〜。そっか、芹菜は式神かぁ」
私の術式の発現。
初めは猫だった。
式神というそれは、私が操ることができるらしい。
父と母は褒めてくれた。
明日から訓練をしよう。
そこからの道は貴方が決めたらいい。
言っている意味は分からなかったけど、私を"そんちょう"してくれていることは分かった。
後で知ったこと。
私の式神、術式は、偽物だったらしい。
そして、もう一つ。
妹の瞳が赤色になった。
私と同じ紫色だった瞳は、綺麗な赤色になった。
その瞳で見つめられたときは、胸が有り得ないスピードで動いたのを覚えている。
きっと、父と母は確信した。
姉は偽物で、妹が本物。
全ての術式を受け継いだのが妹で、姉は偽物だけを受け継いだ。
偽物だとか本物だとか。
そういうことは思ってなかったにしても、妹は確かに特別だった。
母は私にだけ教えてくれた。
「お母さんの家系にね、1000年前に赤色の瞳を持った人がいたの」
「その人は、その時代で最もすごい呪術師だったのよ」
「その人の、死ぬときの呪いかな。赤色の瞳を持った子に、全てを授けると、そう呪ったの」
赤色の瞳を持つ妹は、確かに特別だった。
母は呪いだと言っていたけれど、私にはとても綺麗な色に見えた。
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kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます!!もったいないお言葉です。これからも頑張ります! (3月8日 11時) (レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます!!大好きです。これからも陰ながら応援しています! (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyon | 作成日時:2023年12月29日 21時