閑話 ページ6
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「2024年だね」
「この世界線ではまだ2017年です」
「メタ発言じゃん」
大晦日。
高専へと続く階段の上で、なぜか五条先生と2人で東京の街を眺めている。
大晦日なのに、寒いのに、人々は外に出たがる。
「なんで2人なんですか?」
「他のみんなは中にいるよ。次の1年はまだ登場してないし」
「メタ発言やめてください」
白いマフラーに顔を埋める。
体温を感じられそうな距離にいる先生への緊張を隠すように、コートのポケットに手を入れる。
緊張しているのは当たり前だけど私だけみたいで。
右隣でへらへらと笑っている先生へ目線だけ向ける。
「なんか緊張してる?」
「いえ。2024年は7年後ですし。23歳なので落ち着いてみました。先生は何も成長してないんですか?」
「やめてよ、そんなこと言うの。2018年の状況わかってて言ってんの?」
「やめてください。取り乱します」
本当にいろいろなことがあった。
……それはもう、いろいろと。
そして、何も変化していない私たちの関係。
少しは変化しても良さそうなのに、まだ生徒と先生。
これからもずっとそうなのだ。
私たちの関係は変わらない。
進むことも、きっと戻ることもない。
せめて、その手だけでも握れたら。
寒いですね、ってくっつけたら。
願っても叶わない。
Ifの世界でさえもそれは叶えられない。
叶えてはいけない。
この世に五条悟として、桔梗Aとして生まれた時点で、それはもう決まっていたことなのだ。
「この世界はなんでしょうか」
「なに、そういうキャラだっけ?」
「昔を思い出してるんですよ」
「昔、ねぇ。それはどこから?小さい頃から?」
「そこはまだ作品で書かれてませんから」
ずっとくだらない話をできたら。
2024年も一緒にいられる未来があったら。
それはどんなに幸せなことでしょうか。
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kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます!!もったいないお言葉です。これからも頑張ります! (3月8日 11時) (レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます!!大好きです。これからも陰ながら応援しています! (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyon | 作成日時:2023年12月29日 21時