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刃が曲がった短刀は使い物にならない。
このまま2階に飛び込んで、少し走った先にある自分の部屋のベランダに行けば弓が置いてある。
そこまで行きたい。
行かなくちゃ勝てない。
人型の式神と芹菜に囲まれたら勝利は難しい。
なんとかしてどっちかを叩きたい。
もう、揺れたりはしない。
見つめ合う。
互いが互いの動きを伺っている。
1歩、2歩下がる。
このまま後ろを向いたら室外機がある。
そこに飛び乗って、2階の屋根に登って、走る。
ルートはある。
……けど。
さっきから、校舎の反対側がうるさい。
大きい音が聞こえてくるし、何かが壊れていく音も聞こえる。
高専に来ているのは芹菜だけじゃない可能性がある。
というか、芹菜だけだったら今頃、真希や乙骨くんが応戦に来てくれているはずだ。
他にも敵がいて、そっちに力が削がれている。
一体何が起きたらあんな大きい音が出るんだ。
あっちも相当な何かが起きている。
でも、今は。
目の前にいる敵を排除しなくては行けない。
ごめん、真希、乙骨くん。
そっちを助けるほどの力は、まだ私にはない。
本当は敵に背を向けたくない。
2階へと行くのに、ほんの一瞬。
5秒もは向けていられない。
一瞬にかける。
地面を思い切り蹴り後ろに走り出す。
芹菜の呪力が後ろから迫ってきている。
室外機を踏み台に飛び上がり、パイプを両手で掴む。
勢いだ。
全て、勢いで行く。
スピードと腕の力で身体を上へと運び、足を2階の屋根に着地させる。
その瞬間だった。
脳内に、誰かの声が響き渡る。
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kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます!!もったいないお言葉です。これからも頑張ります! (3月8日 11時) (レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます!!大好きです。これからも陰ながら応援しています! (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyon | 作成日時:2023年12月29日 21時