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「私に付き合ってくれて、ありがとね」
「ナズナにとっては関係ないことなのに、妹に、一緒に必死になってくれて、ありがとう」
手を握る。
芹菜さんの呪力よりも柚姫の呪力の方が感じる。
一瞬でも逃すまいと。
芹菜さんの呪力を、体温を感じていたいと、その熱を探す。
「どうせなら一緒に絶望しようと思ってたのに、おかしいね」
「今は、ナズナだけには、どうしても幸せであってほしい」
手が頬に触れる。
優しい手。
ずっと、導いてくれた優しい手だ。
「芹菜さんと、一緒に幸せになりたかった」
「うん。ごめんね」
「芹菜さんとじゃなきゃ、意味がない」
手が涙を掬う。
ぼやけていく視界を綺麗にしてくれるのは、いつだって芹菜さんだった。
その役目は、芹菜さんだけだった。
ずっとそうだ。
出会ってから今まで。
ずっと守られてばかりで。
ずっと身を削ってきた芹菜さんの隣で、僕はずっと身を隠していた。
「せめて、最後くらいっ」
「一度くらい、守らせてよ、」
溢れ出た言葉はもう遅くて。
あの時、芹菜さんが家で待機していろと言ったとき、この言葉が言えていたら。
守りたいと、素直に言えていたら。
こんな未来はなかったかもしれない。
また一緒に未来を見れていたかもしれない。
情けなく出た言葉に、芹菜さんは一瞬驚いたかのような声を出した。
僕の頬を両手で包み、顔を覗き込む。
透明な声で、「違うよ」と、その言葉を否定する。
「ずっと、守られてたんだよ。ナズナに」
「……え？」
「君がいてくれなきゃ、私はもうとっくにこの世にいない。君が守ってくれたから、私は君と思い出を作れたんだ」
優しい瞳。
綺麗な紫の瞳。
大好きな、芹菜さんの瞳。
その向こうには僕がいて。
その僕に、芹菜さんは笑っている。
一度くらい守らせてほしかった。
その情けないほどの悔いにさえ、この人は優しく返す。
本当はずっと、守られていたんだ、と。
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kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます！！もったいないお言葉です。これからも頑張ります！ (3月8日 11時) (
レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます！！大好きです。これからも陰ながら応援しています！ (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kyon | 作成日時：2023年12月29日 21時
