術式 ページ18
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「よぉ、五条。久しいな」
「Aと芹菜はどうした」
「まぁ待て、少し3人で話そう」
五条先生が現れた。
目隠しは外れていて、綺麗な青色の瞳で柚姫を見つめている。
柚姫と視界を共有しているから、柚姫を見つめているつもりでも、私も見られている感覚だ。
3人で話す、柚姫はそう言った。
その言葉の意味を理解しようとする前に、視界が弾けたような感覚があった。
いつの間にか閉じていた瞳を空けると、あの夢と同じ花畑が広がっていた。
五条先生と柚姫と私。
そこには確かに3人が存在していて、あの夢と同じ花の香りもした。
「芹菜は最後の挨拶に行った。大丈夫だ。その間誰も傷つけない、殺さない、我との約束じゃ」
「柚姫は約束が好きだよね」
「我は縛りが嫌いじゃ。約束の方が守りたくなる」
3人で話してるの、違和感があるな。
それに、ここにいるとなんだかふわふわしてくる。
夢を見ているかのような、柔らかな気持ちになってしまう。
「ここは桃源郷。我の生得領域にAが術式を付与することで出来ている」
「私の術式を?」
「領域展開みたいなものじゃ」
領域展開も同じ要領で出来ている。
星火燎原は、私の生得領域に柚姫の術式を付与したものらしい。
あまりよく分かっていないし、2人が合わさることでバグみたいなものも起こっているみたいだ。
私があのとき領域展開ができたのは、ただ単に私の実力があったからではなく、柚姫の呪力が上乗せに更に上乗せされたからできたこと。
柚姫なしでは、今でも出来ない。
「天花操術、それが我の術式じゃ」
「ここに咲いている花なら扱えるようになっている」
ここは柚姫の生得領域と言った。
つまり、柚姫の心の中。
あの戦闘狂のような人の心がこんなお花畑だったとは信じ難い。
しかし、ここからは確かに柚姫の呪力が感じられるし、ほんのりと柚姫の思い出も読み取れる。
あの夢の中で、柚姫の幸せを願っていた人は誰だったんだろう。
この花の中で、柚姫が心を踊らせてまで会いたかった人は誰だったんだろう。
そんなことを聞ける雰囲気でもない。
「ここには時間の概念がない。生も死もない。それが付与されたAの術式じゃ」
「私の術式?」
「Aの意思によって、生者も死者もここに存在できる」
それは夢のような領域であり、残酷な領域のようにも感じた。
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kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます!!もったいないお言葉です。これからも頑張ります! (3月8日 11時) (レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます!!大好きです。これからも陰ながら応援しています! (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyon | 作成日時:2023年12月29日 21時