守らせてくれよ、一度くらい ページ13
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「速いっ！」
こちらに飛んでくる蛇のような、龍のような式神。
想像以上の速さでこちらに飛びかかってきて、避けるので精一杯だった。
長さもある。弱点はあるはずだけど、むやみやたらに矢を放つものでもない。
『このままじゃ人が死ぬぞ！』
柚姫と代わるべき。
でも、暴走する可能性がないわけではない。
今までがそうだからと言って、これからもそうである可能性はない。
逆に、今までが不思議だったのかもしれない。
人間と、呪霊が仲間だなんて。
……それでも、
「誰も殺さないでね。傷つけないでね」
『我が約束を破ったことはない。約束ほど、大切なものはないからな』
貴方が代われと言うのなら。
貴方が信じろと言うのなら。
その言葉を信じてみようと思う。
私の想いも託そうと思う。
それなりの信頼関係は築いてきたつもりだ。
柚姫が信じてくれているように、私も信じる。
私の決断だ。
「頼んだよ、柚姫！」
『任せておけ。お前もよく見ておくんじゃ』
髪の毛を一つに結っていた黒い紐がほどかれ、空中で勝手に動く。
吸い寄せられるように右腕に巻かれる。
髪の色も徐々に白色へと変わっていく。
それが、私と柚姫の入れ替わりのサイン。
「最悪な展開になっちゃったよ、ナズナ」
「こんなことになるなら、本当に来なくてよかった」
芹菜が陽を仰ぐ。
何かを悟っているのか。
覚悟をしているのか。
柚姫と対峙すること。
それは、ある程度の者には死が意味される。
昔から随分と雰囲気が変わった。
幼かったはずの妹はあの柚姫をコントロールしている。
誰が見ても特別で、到達できない。
あの日、家の者たちが騒いでいたのは正解だった。
「全部、あんたのせいだよ」
「責任転換か？」
「あんたがいなければ、今頃幸せな家庭だった」
何が正解で、不正解かなんてわからない。
きっとそれぞれに正解があって、間違いがある。
それぞれの正義がある。
答え合わせのぶつかり合い。
それは、偽物と本物のぶつかり合いであった。
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kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます！！もったいないお言葉です。これからも頑張ります！ (3月8日 11時) (
レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます！！大好きです。これからも陰ながら応援しています！ (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kyon | 作成日時：2023年12月29日 21時
