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「え?僕も高専行きますよ」
「だーかーら、来なくていいって」
「なんで行ったらダメなんですか。芹菜さんと一緒がいいです」
気がついたら
世界に絶望してそうな顔を放っておけなかった。
どうせ絶望したままなら、一緒に絶望しようと思った。
思っていたのよりナズナは従順で、私のことが大好きになった。
ずっと、芹菜さん芹菜さんってついてくる。
この世界に存在する理由を考えていた。
妹は桔梗家に捕らわれていた。
その裏には土御門家もいる。
助けることも、一緒にいることもできない。
それよりも、私が呪霊としてこの世にいる限り、妹とは敵であるしかない。
そう考えている内に、妹は成長していく。
気が付けば桔梗家から出ていた。
五条悟とも再会して、呪術の道を歩み始めた。
記憶が戻らないまま、柚姫の力と自分の努力で道を切り開いていった。
私がいなくても。
私は妹のためにこの世界に戻ってきたのに。
妹は私の存在を思い出すことなく、突き進んでいく。
思考はどんどん歪んでくる。
妹も呪霊になれば。
妹も呪詛師になれば。
気が付けば自分の気持ち優先で、妹のことは考えてなかった。
それでも、だ。
「あ、もしかして芹菜さんのショートケーキ食べちゃったから怒ってます?」
「ごめんなさいって。また買ってきますから。いちごいーっぱい乗ったやつ」
ナズナがずっと笑ってくれるから。
ナズナがそれでも良いって言ってくれるから。
私はこの道を進もうと思えた。
私は妹と生活することを願っている。
妹が強くなりたいと、仲間と一緒にいたいと願うように。
私は妹と一緒に幸せになりたい。
そしてその未来に、ナズナもいてくれたらいい。
譲れない幸せだ。
後悔をしたくないから、私は行く。
「絶対帰ってくるから」
「そのとき、ナズナが待っていてくれたら、嬉しいから。ここで待ってて」
"いつか"を思い浮かべて。
いつか一緒に暮らせる未来を想像して。
A、私と一緒に堕ちよう
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kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます!!もったいないお言葉です。これからも頑張ります! (3月8日 11時) (レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます!!大好きです。これからも陰ながら応援しています! (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyon | 作成日時:2023年12月29日 21時