検索窓
今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:5,478 hit

. ページ2

.




今度は真っ直ぐに走って距離を詰める。



芹菜は焦っていた。

動揺していた。


こちらのスピードに驚いていたんだ。



虎をあんな使い方をした。

速さだけじゃない、威力も十分にあった虎を無駄遣いかのような使い方だった。




今度の式神は何か。


猫か、人か、狐か。

どれもサイズが大きいから厄介だ。



芹菜の式神全てを知っているわけでもない。


まだ登場していない式神と当たるのも避けたい。



でもそれは、こちらの出方次第。

芹菜の気分次第。





距離を詰め、短刀を振るう。


左腰から右肩目掛けて振り上げた刃は空振りに終わる。


髪の毛が数本、はらはらと落ちる。

当たったと思ったのに。





空振った右手をもう一度、その肩へと伸ばす。


と同時に、後ろから同じ呪力の気配。



飛んでいる。

鳥か。鳥の式神。こいつも、速い。



後ろから突っ込んでくる鳥を避けるように、体を落とす。




落として、どうする。


五条先生なら、真希なら、どうする。



ずっと、見てきた。


近くで、隣で。

戦い方を教わってきた。




立っている芹菜の腹を左足で蹴り、体を落とさせる。


倒れることに抵抗しようとしている芹菜の後ろ襟を掴み、背中と地面を合わさせる。

体を地面に押さえつけ、上に跨る。



芹菜を下に見るなんて、初めてだ。


そのまま、喉元に短刀を突き付ける。





「速いね」

「そっちこそ、鈍ったんじゃないの?」

「この間と呪力量が違いすぎる。柚姫の上乗せとは言いきれないほどに多いよ」





早く。


早く、刺せばいい。


そのまま呪力を込めて首を落とせば、終わる。





「手が震えてるよ」

「そんなことない」

「嘘つかないでよ。ほら、刺せばいいじゃん」





微かに震える右手を左手で抑える。




まともに芹菜の顔を見たのは、初めてかもしれない。


夕日に照らされて少し色付いている長い白髪は、顔を隠すことなく、綺麗に地面に流れている。

原色かと思うほど濁りのない綺麗な紫の瞳は、私の後ろに飛んでいる烏を映している。



喉元が震える。





「おねえ、ちゃん……」

「……は」





それはただの、感情の揺らぎだった。




.

.→←開戦



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
90人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

kyon(プロフ) - きゃるさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、出会ってくれてありがとうございます!!もったいないお言葉です。これからも頑張ります! (3月8日 11時) (レス) id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
きゃる(プロフ) - すごい作品に出会えたなと思います。素敵な作品をありがとうございます!!大好きです。これからも陰ながら応援しています! (2月22日 23時) (レス) @page23 id: fa1bdc5357 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:kyon | 作成日時:2023年12月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。