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「やっぱり、2人は強いね」
そう口にする乙骨くんに真希と2人で視線を送る。
真希が強いのはわかるけど、私は強いと言われるほどの強さは持っていない。
真希と並べられると、霞んでしまうだろう。
それでも、乙骨くんは言葉を繋げる。
「僕は、真希さんやAちゃんみたいになりたい」
「強く、真っすぐ、生きたいんだ」
その真っすぐな瞳に嘘は映っていない。
彼はいつだって、その言葉で背中を押す。
「乙骨くんだって、もう十分強いでしょ」
「僕は、全然……まだいろいろ分かってないし」
「オマエ、特級じゃん」
里香ちゃんのこともあってか、階級は特級である乙骨くん。
特級なんて冗談でしか聞かないほどレアで、この世に4人しかいない。
4人のうち1人が今目の前にいて、もう1人が今新宿で戦おうとしている。
そしてもう1人が、今回の百鬼夜行の首謀者。
単独での国家転覆が可能であるだなんて、怖いもんだ。
乙骨くんだってその気になれば、国をコロッと変えられちゃうわけ。
「正直、身の丈にあってないって言うか……」
「まぁ、ちょっと自信なさげだよね」
「自信、ないから。だから、2人みたいに逃げずに強く生きたいんだ」
二度、同じことを口にした。
二度も言われてしまうと、余計のその言葉を意識してしまうわけで。
同級生にそんなことを言われると、照れるというか。
気まずい、というか。
嘘がないと分かっているからこそ、その言葉を深く感じてしまう。
突然、誰も喋らなくなる。
ぼけーっとしている乙骨くんと、驚いたような顔にほんの少し、赤色がついている真希。
「そ、そういえば、花の水やり当番だったの忘れてた」
「え、そうなの?朝やってなかった?」
「もう1個あったの!忘れてた!」
逃げるように教室を出る。
後ろで私の名前を呼ぶ声と、その後に扉が開く音は聞こえた。
でも、そんなこと気にしてられない。
右へと進み、校舎の外へと足を進める。
あんな顔しないでよ、真希。
意識しちゃうじゃん。
乙骨くんと2人のときはただその言葉を噛み締めるだけだったけど、隣であんな反応する人がいたら、そっちに気が向いちゃうでしょ。
その言葉を意味をまともに食らっちゃうでしょ。
今までの言葉も、全部、励ましだけじゃなくて、認められたんだって思うと
胸がきゅーっと、ぎゅーっと、締められる。
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kyon(プロフ) - r_inaaa6さん» コメントありがとうございます!そのようなお言葉をいただいて、とても嬉しいです!!ご期待に応えられるよう、これからも頑張りますので、ぜひ応援お願いいたします! (11月25日 0時) (レス) @page22 id: c6557ad466 (このIDを非表示/違反報告)
r_inaaa6(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!今後も更新楽しみにしてます!頑張ってください^^ (11月23日 14時) (レス) @page20 id: ee744ba5ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kyon | 作成日時:2021年3月6日 23時