透明オルタナティブ弐【呪術廻戦】

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「え、桔梗さん知り合いなの？」

「あの2人並ぶとレベチだわ」





女子も男子も関係なく群がる。



こんな風に目立ちたくはなかった。



転校生、ってだけでも目立ってるのに。

もう、視線は十分だったのに。



いい意味でも悪い意味でも捉えられる言葉がちらほらと聞こえて、耳を傾けてしまう。




早く帰ってくれオーラを出しているが、五条先生は動こうとしない。





「お弁当、持ってなかったでしょ。棘たちが作ってくれてたよ。ちなみに、僕も途中からだけど作ったんだ」





はい、と渡された袋の中にはお弁当。


袋の中からは良い匂いがする。


美味しそう。

あの子たちが料理できるの、ちょっと意外だったけど。



作ってくれたのは普通に嬉しい。


後でお礼言うし、味わって食べるつもりだ。



けど、問題はそこじゃなくて。





「五条先生は目立たず登場することは出来ないんですか？」

「僕、最強だからね」

「今それ関係ないです」

「ヒーローはかっこよくって言うじゃん？」

「……もういいです」





体育祭、始まってないのに疲れた。


競技じゃなくて、この目の前の男のせいで。



周りの視線も痛い。


先生、早く取り押さえてくれないかな。

不法侵入だと怒られてほしい。




貰ったお弁当をカバンの中に入れる。


結構入ってそうだ。

4人で作ったら、そりゃ量は多くなるか。


愛と食べる約束をしているので、一緒に食べよう。





「で、いつまでそこに居るんですか」

「えぇ、居ちゃダメなの？」

「当たり前でしょ、これは学生の体育祭です」





そっか〜、と拗ねた言い方をしながらもやっと席を立つ。



帰っちゃうの？なんて言う女子の声。

私は早く帰ってほしいよ。



ここに滞在していたからと言って、何が起こるの。


女子は五条先生、五条先生喚いて


五条先生は調子に乗るだけ。



視線は痛いし、モテてるのなんかうざいし、



ちょっとだけ、モヤモヤするし。





「分かった分かった、帰るよ」

「んじゃ、頑張ってね」





私と愛に、そして周りの女子に手を振る。



耳を劈くような歓声。


そして男子も見蕩れていたり。



こんな人がいいなんて、悪趣味だね。

私も、みんなも。



周りから刺さる目線にため息。


帰るなら、この視線ごと持ち帰ってほしかったな。




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