透明オルタナティブ【呪術廻戦】 (ページ36)

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「よし、やるか」

いつもの制服とは違う運動着。

手には刀が握られている。

1週間前とは違うAのオーラに目を細める。

Aの成長スピードは他の人に比べて早かった。

1週間の棘とパンダとの訓練。

あの2人が唸るほど、Aは技術全てを飲み込んでいったのだ。

2人から教わる、攻撃やら受け身やら何やら。

初めは痛かったし、食べた物吐きそうになったけど。

痛い、吐きそう、辛い。

その気持ちが"強くなりたい"と言う思いを奮い立たせていた。

「本気で来いよ」

「真希さんこそ」

正直、怖い。

Aなら大丈夫！と送り出されはしたけど。

まだまだ、届かない気がして。

震える手を抑え、刀を握り直す。

どちらが先に踏み出したのか。

それは影から見ていた棘とパンダにも分からなかった。

2人の武器が、ぶつかり合う。

天与呪縛の持ち主、真希。

柚姫の力か、A自信が元々持ち合わせていた力なのか。成長スピードが異常な程早いA。

勝負の行方は、誰にも想像できない。

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「うえぇぇぇ」

「汚ねぇな。吐くなよ」

お互い1歩も引かなかった。

しかし、五条からの時間切れの伝達が来る数秒前。

初めて、武器が手から落ちた。

刀が音を立てて落ちる。

先に地面に手をついたのは、Aだった。

朝、棘とパンダにいっぱい食べ物を詰め込まれたAはそれが出そうになっている。

出そうな所ギリギリで止め、真希さんの隣に座る。

「……強いな」

「最後まで、真希さんに勝てなかったよ」

2人寝っ転がり、空を見上げる。

雲一つない。

綺麗な晴れた空だった。

高専に入る前、柚姫を呼び起こした時もこんな空だった。

まだ1ヶ月も経っていないのに随分昔に感じる。

「弓でも触ってみるか」

「え？」

「Aの専門は弓だろ？」

体を勢いよく起こし、大きく伸びをする。

ここまで来たら刀で戦ってもいい気もするが。

柚姫を封印させた呪具の一つ。

五条先生が言っていた。

特級呪具に分類されると。

私がそれを扱っていいのか。

私なんかじゃなくて、真希さんみたいな呪具の扱い上手い人が使った方がいい。

それでも、この弓で誰かを救えるのなら。

母さんと父さんとの約束が守れるなら。

「お願いします、真希さん！」

私の声が空高く鳴り響いた。

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