おにぎりと ページ28
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「あ?A、そんだけでいいのかよ」
「もっと食べないと、体力持たないぞ?」
私のお昼ご飯の量を見て、心配するように言ってくれる真希さんとパンダくん。
高専の人はよく食べる。
そりゃ、あんだけ訓練してるから食べないと体力が持たない。
そんな人と比べたら少ない…なら、まだ入ってきたばかりだから納得出来る。
けど、Aの食は一般人に比べてだいぶ細い。
今日もご飯お茶碗の半分、魚も半分、お汁何か抜きだ。
この中で一番多いのはサラダ。
多いと言っても、真希さんや狗巻くんに比べたら少ない。
「こんぶ?」
「大丈夫。これでいけるから」
みんなにヘラッと笑い箸をつける。
Aの食の細さには、ちゃんと理由がある。
いわゆるトラウマだ。
柚姫と入れ替わっている間、Aは夢という形で、過去の自分を見ていた。
あれは5歳のとき。父さんと母さんが死んだ後だ。
柚姫が入っている私は危険人物とされ、狭い、薄暗い部屋で1人で居た。
その時の食事が悲惨だった。
白米は、白米と伝えられないとわからない程の変色具合。
魚や肉は味なし。臭いが漂う。
吸い物なんて、なかった。
それでも、生きるためには食べないといけなくて。
何とかして口に入れていたのに、柚姫を仕舞う私への食事はいらないと思われたのか、段々と提供されなくなった。
薄暗い部屋の中、空腹に殺されそうになる。
限界なんて、とっくの昔に超えていた。
桔梗家に引き取られてからは、少しずつ食事が出るようになった。
しかし、トラウマというのは消えない。
心の奥底に住んでいるものだ。
ご飯少しと、水をたくさん。
それだけの生活をしていたから、かなり食の細い人になってしまったのだ。
幼少期の頃に根付いたものは、簡単に引き剥がすことができない。
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作者名:kyon x他2人 | 作成日時:2020年11月7日 15時