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もう2人の姿は見えなくなっていた。
けど、下を見ると2人分の足跡が続いている道がある。
靴のサイズからして、絶対に洸汰とデクくんだ。
後を追うようにして、私も足跡の方へ行く。
洸汰くんは、どんな思いを抱えているのだろう。
デクくんは、どんな言葉をかけるだろう。
完全に分かり合える日が来なくても、少しだけ交ざりあえたらいいのに。
個性は、そんな願いをも阻むということを、私は知っている。
「僕の友達…2人いるんだけどさ、1人は親から個性が引き継がれなくてね」
歩いていると、前の方からデクくんの超えが聞こえてくる。
下を見ると、ここから先は崖のようになっていて、足跡がない。
デクくんの声が聞こえたということは、この先に2人がいることは確かだ。
岩の影に隠れて、2人の話を盗み聞く。
「でもそいつは、ヒーローに憧れちゃって。でも今って、個性がないとヒーローにはなれなくて」
「そいつさ、しばらく受け入れられずに練習してたんだ」
「物を引き寄せようとしたり、火を吹こうとしたり」
デクくんの話だ。
デクくんは、自分の話を友達の話と置き換えて、洸汰くんに話している。
少しでも洸汰くんの心に残るように。辛い洸汰くんを救えるように。
個性がなかったデクくん。
それを聞いたときは、個性の話とかヒーローの話は控えようと思っていたけど、本人がずっとヒーローの話をしているから、特に気に留めなかったんだっけ。
幼いながらに、私たちが狭い思考にならないように、配慮してくれていたのだろう。
誰よりもヒーローに憧れて、誰よりもヒーローになりたかったデクくん。
誰よりもヒーローを恨んで、誰よりもヒーローを否定したかった洸汰くん。
ああ、私はきっと…
「もう1人の友達はさ、ちょっとだけ、君に似てるんだ」
「自分の個性で大切なお母さんを傷つけちゃってね。わざとじゃないんだ。何故か分からないけど、個性が暴走したんだ。使い方も止め方も分からないほど幼い頃だったから、仕方がなかったんだ」
「けど、それで自分を責めちゃって。最近まで、自分も、ヒーローも、個性も否定するような子だったんだ」
私はきっと、洸汰くん側だったんだ。
洸汰くんの気持ちがわかってしまうから。
これ以上踏み込めなくて、何も言えない。
「そこまで否定しちゃうと、君が辛くなるだけだよ」
やっぱり、デクくんは凄いや。
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kyon(プロフ) - はさん» コメントありがとうございます！わあぁぁ、ありがとうございます！面白いだなんてそんな、勿体ない言葉です…！もっと良いものが提供できるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。 (2021年10月27日 20時) (
レス) id: 91f42d209d (このIDを非表示/違反報告)
は - すごい面白くて、一気に読みました！更新楽しみにしてます (2021年10月24日 0時) (レス) @page5 id: 1fbe025c86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kyon | 作成日時：2021年9月19日 17時
