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言い逃げをしてしまった。
食い逃げほどの罪悪感はないが、それでも胸が痛い。
ちなみに、食い逃げはしたことないので食い逃げの罪悪感が如何程かは知らない。
テンパって、麗日さんの所に行く予定が戻ってきてしまった。
会場では、切島くんとB組の子が腕相撲をしている。
鉄哲徹鐵という、如何にもな名前だ。
「あ、西森！ほら、爆豪後ろに行ってよ」
「アァ？なんで俺が動かなきゃいけねぇんだ、テメェが後ろに行けクソモブ！」
「だ、大丈夫です！後ろに行きます、充分見えます！」
耳郎さん、ありがとう。
でも、これ以上は耳郎さんが可哀想。
黙ってそそくさと後ろの席に座る。
隣は、障子くんだ。
「麗日には会えたのか」
「それが、忘れちゃって…」
「え、忘れたの！？じゃあ、何しに行ったのさ」
前から吃驚した耳郎さんの反応が来る。
ご最もです。
麗日さんに会いに行ってくる、って出ていったのに、会ってないんだ。それも理由が忘れた、だなんて。
でも、ここで轟くんと話してましたとも言えない。
かっちゃんが怖い。爆破される。
何とか笑って誤魔化す。
次はもう少しマシな嘘つこう。
「あ、始まるよ」
誰かが言う。クラスメイトの言葉か、別の観客からの言葉かは分からない。
その言葉の通り、マイク先生の実況により、出久くんVS轟くんの試合は始まった。
正直、どっちが勝つか分からない。
轟くんが左も使ったら、出久くんはどうするのだろう。
氷ならパワーで飛ばせるが、炎は飛ばせない。
空気にぶつけるなら出来そうだが、それまで出久くんの腕が持つか分からない。
「頑張れ…！」
開始早々、轟くんの氷結が出久くんを襲う。
そして、それを指を犠牲にして飛ばす。
分かっていた展開だけど、威力がいっぱいに伝わってきて、思わずたじろぐ。
轟くんの背中の氷は出久くんのパワーで飛ばされないためにあるのだろう。
出久くんはあのまま氷を阻止し続けると、全部の指がダメになる。
腕は最後にとっておきたいはずだし。
1番、ハラハラする試合だ。
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作者名：kyon x他1人 | 作成日時：2021年5月22日 21時
