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あの麗日さんの姿が忘れられない。
いつもと様子が違った。緊張していた。震えていた。
あの柔らかい笑顔は、なかった。
今、会場では麗日さんとかっちゃんの戦いが始まろうとしている。
どっちを応援したらいいのか分からない。
叶うならば、どっちも勝ってほしい。
胸の前で手を組み、小さく祈る。
かっちゃんは、女だからって手加減しない。
麗日さんだって、本気で勝ちにいってる。
どうか、どうか無事で終わりますように。
「あ、西森！体調大丈夫なのか？」
「2度目だから、心配したわ」
会場に着くと、A組が固まって座っていた。
耳郎さんと蛙吹さんが私を見つけて、隣へと誘導してくれる。
麗日と爆豪の試合だから、一緒に見よう、と。
かっちゃんや轟くんなら、ヒーローになりてぇなら体調管理くらいしろ、って言いそうなのに、
2人とも暖かい！
本当は2人もそう思っているのかもしれないけど、口には出さず体調の心配をしてくれるのは、正直嬉しい。
「ごめんね、心配かけちゃって。薬飲んだから、もう大丈夫」
「腹でも出して寝てたんじゃね？」
「おいこら、上鳴！」
上鳴くんのボケかなんかと、耳郎さんのツッコミ。
お腹は出して寝ていない。と思う。
2人がちょっとした言い合いをしているのを、横目で笑いながら見る。
A組の人、すごくフレンドリーだ。
「ほら、始まるわ」
蛙吹さんが指を指す。
その先には、麗日さんかっちゃんの試合が、始まる。
麗日さんの個性は触れたものを浮かせる。
かっちゃんの個性や運動神経から考えると、触れるのは困難であるが、浮かせればこっちのもんだ。
絶対、油断も加減もしない。
始まりの合図がなった瞬間、走り出す麗日さん。
試合の行方は如何に。
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作者名：kyon x他1人 | 作成日時：2021年5月22日 21時
