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「油断してんじゃねぇよ、クソが！！」
「かっちゃん…」
予想していた衝撃は来なかった。
かっちゃんが、私に罵声を浴びせつつも、助けてくれた。
何かダメだ今日。私、誰かに助けてもらってばっかりだ。
そして、その度罵声を浴びせられる。
「あーあ、痛い。痛いよ、ねぇ」
「また君？よく邪魔するね、俺の。いい加減Aちゃんと2人きりにさせてくれよ」
かっちゃんに向けての言葉。
また君。
やっぱり、ヴァッサゴはあの日の。
かっちゃんも居た、出久くんも居た。
まさかの、こんな場所で再会するなんて。
「あ？俺はテメェみたいなクソ敵は知らねぇ。頭イカれてんのか」
「ふふっ、そうだねぇ。Aちゃんも同じような反応してたね」
「あ、Aちゃん手首大丈夫？俺の個性、縄が当たると数分後にその場所に猛烈な痛みが走るんだ。伝え忘れてたよ、ごめんね」
全く反省してない。ごめんね、なんて思ってない。
口先だけだ。
まだ痛む手首を抑える。
こんな所でへばってられない。
かっちゃんに弱い姿見られたくない。
助けてもらってばっかりは、ダメなんだ。
「あ、個性は使わない方がいいよ。個性を使おうとすればするほど、痛む。Aちゃんにそんな思いはさせたくないよ」
そう思うなら初めから縄使うなよ。
傷付けないとか、痛い思いはさせないとか、そんなこと言う割には扱いが雑だ。
個性を使おうとすればするほど、痛む。
確かに、さっきそうだった。
正直泣き叫びたかったが、そんなことは出来ない。
心配されたくない。
みんなは、あっちに集中してほしかった。
「お前は座っとれ」
「でもっ」
「いいから黙って座っとれやクソが！！」
いつも通りのかっちゃんだ。
いつも通りではあるが、突然の大声で肩が跳ねる。
自分だけ座るなんてことはしたくないが、これ以上逆らうと敵じゃなくて私が殺される。
痛む手首を抑えながら、かっちゃんの邪魔にならないよう避けて座る。
一応、何かあってもすぐ立てるよう、軽く腰はあげておく。
「男とはつまらないよ。俺はAちゃんとがいい」
「A、Aうるせぇんだよ。その口、俺がぶっ潰してやるよ」
「ははっ、ムキにならないで。Aちゃんの取り合いならまた今度ね」
かっちゃんの手のひらが鳴る。爆発の合図。
ヴァッサゴも縄を取り出す。2人とも、不敵な笑みを浮かべていた。
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作者名：kyon x他1人 | 作成日時：2021年5月22日 21時
