2.友達 ページ3
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雄英高校 1年A組
今年の春から3年間、この学校、教室に通う。
入学当時、桜の花びら舞う中、学校へと向かう道は憂鬱だった。
送り出した父の顔を思い出しては胸が痛む。
まるで私に希望や未来があるとでも言うように、学校での話を聞かせてくれ、と送り出した。
別に夢がないわけではない。
周りと同じように、ヒーローになりたいと思っていた。
中3になるまで、その思いが少なからずあって。だから、雄英を受験した。
ただ、それだけだった。
そんな軽い気持ちが、この自信のない気持ちを生み出し、そこから憂鬱な気分へと発展させていったのだ。
__なんでクソデクだけじゃなくてお前までくんだよ
かっちゃんの言葉が脳内を駆け巡る。
常にトップを目指し人生設計を立てているかっちゃんにとって、私とデクくんの雄英入学は想定外。
自分の人生設計に大きな傷を作った2人。
幼なじみ嫌いが更に増した入学前。
そして、きっとこれからもその嫌いは増して行く。
だって、私とかっちゃんは同じクラス。
かっちゃんのお母さんが嬉しそうに話していた。
うちんとこもA組なんだ。Aちゃん、よろしく頼むよって。
よろしく頼めない。
問題児すぎるかっちゃんの面倒を、幼なじみだなんて理由で押し付けないでほしい。
…と、ここまで来るまでに散々悪態をついて来たが、最近は憂鬱な気持ち以外の感情もちゃんとある。
割合で言えば9割憂鬱、1割期待くらいだ。
エリートが溢れるこの学校。周りは夢の実現に向けて努力を惜しまずやっている。
そんな中に居たら、自分も何かを見出せるのではないか。
ヒーローへの道へ覚悟を決めれるのではないか。
そんな淡い期待も持っていた。
初めはバリアフリーかな、なんて思いながら開けていた扉も今は馴染んで、何の考え無しにその扉を開ける。
人は2日も通えば馴染んでしまうらしい。
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作者名：kyon x他1人 | 作成日時：2021年5月22日 21時
