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やりたいと相応しいかは別の話。
「僕は僕の正しいと思う判断をしたまでだ」
と会って数日しか経ってないが飯田くんらしい考え方だなと思った。
その考え方を持っている時点で、飯田くんも委員長に適任だとは思うけど、それは飯田くんの覚悟があるので言わないでおく。
それにしても僕って…
「飯田くんって、もしかして坊ちゃん？」
「私もちょっと思ってた！」
頼りない返答だけでなく、他人の家事情にズカズカと入っていく女子2人。
もしかしたら隠したい事情があるかもしれないのに。
まさにその通りで、飯田くんは渋々といった感じで家のことを話してくれた。
飯田くんの家は代々ヒーロー一家。飯田くんはその次男らしい。
東京の事務所に65人もの
私も昔、迷子になって助けられたことがある。
大泣きしていたからハッキリとは覚えていないが、多分インゲニウムだ。
「規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー」
「俺はそんな兄に憧れ、ヒーローを志した」
そう言い、飯田くんは笑った。
きっと本当にお兄さんが好きで尊敬しているのだろう。
ヒーローになりたい理由はそれぞれだ。
1人1人に物語があって、原点がある。この食堂にいるみんなにだってきっとある。
そう思うと、急にかっこよく見えてきた。
「西森くんは何故ヒーローに？」
「Aちゃん昨日おらんかったから個性も把握できてないもんね。気になる！」
私には来るな来るなと願っていた話題が来た。
まあ、そうだ。昨日の訓練で個性の使い方や実力が見えてきたが、私は参加していない。私へと興味が湧くのは自然とも言えるのか。
あまり答えたくない話題ではある。
自分の個性を特別だと思ったことはない。特に力も才能もない。
それに、何故ヒーローを志したんだと言われると、少し言いにくい。
それでもこれからクラスメイトと良好な関係を築いていくためにここで無視は出来ない。
「私の個性は炎。いろんな形にできるの」
「実践では矢とか球が多いかな。無造作に放つこともある」
「ヒーローは…お母さんに憧れて」
デクくんが一瞬暗い顔をしたが、バレていない。
理由も個性も嘘ではない。本当に母が理由だし、炎を扱う。
新たな質問をするのか口を開きかけていた飯田くんを遮り、話題を変えようとした時。
学校内に警報が鳴り響いた。
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作者名：kyon x他1人 | 作成日時：2021年5月22日 21時
