Butterfly I Loved 【黄緑】 (ページ10)

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溢れそうなくらいページ10

作者の柳です
本作をご覧頂き、本当にありがとうございます

またまた話を思い付いてしまったので、短編にしました
本編とは全く関係ないです
よろしければご覧下さい

「大倉、」

亮ちゃんの唇が俺の唇に触れる。優しく啄むように、何度も。亮ちゃんの温もりを感じる度に、透き通ったものが目からこぼれる。

「ふはっ、そない泣かんでもええやん」

ぽろぽろと頬を伝う涙を、亮ちゃんがキスで受け止める。少しひげが当たって痛いけれど、それも嬉しく感じてしまう。

「亮ちゃん、」

「ん？」

「なんもない、」

「何なん」

「ありがと、」

「ん」

俯く俺と、唇を離して痒くもない目元を掻く亮ちゃん。広いベットの上で、シーツがほんのり温まる。

風になびくカーテンから、はちみつ色の夕日がカーペットに差し込む。

星が空に浮かぶ頃、コンビニで買った焼きそばとシチューを二人で食べた。ついでに買った発泡酒とアイス。普段は買わないけれど、亮ちゃんがいるとうれしくて、なんだか買いすぎてしまう。

見るつもりのないバラエティー番組をつけて、お酒を飲んで、ご飯を食べる。二人が笑い合う声の奥で、液晶の中の司会者が手を叩いた。

群青の空と、高層ビルが天の川をつくる頃、ベットに入って腕まくらをしてもらった。俺の髪の毛がくすぐったいのか、亮ちゃんが笑いだす。それに釣られて俺も笑う。亮ちゃんの匂いに包まれて、幸せだった。

その日は亮ちゃんと、たくさんキスをした夢を見た。