Butterfly I Loved 【黄緑】 (ページ12)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:23,134 hit

枯れた向こうページ12

でも、まさか忠義が“蝶々”になってるなんて知らんかった。昨日踊ってるときも、全然見とらんかった。

せやから、すばるに頼まれて、何が起きてるかよう分からんかったけど、チンピラ二人捕まえてあのラウンジ行ったら、倒れてたどっくんをマルが処置してて、じゃあ俺もう一人の方せなあかんと思って、顔見たら、忠義やった」

「そっか」

なんて、マルが空気を和ませようとした。

でも、こんなんで全部納得した訳じゃない。

「でもさぁ、子供の頃からなんかどうか知らんけど、いつもあんな風に話す訳？」

「それは、熱もあったし、ぼんやりしてて昔の記憶と現実が曖昧になっとるんちゃう？

でも、それだけや無いかもしれくんて、さっき汗拭こうと思って服の裾上げようとしたら、急にもの凄い剣幕で、やめてって言われてん。

そん時に、隠したつもりやったんやろけど、チラッとアザが見えたんよ。
大人の拳くらいの新しめのやつ。

せやから、此処へ来る前に何かあったんかもしれん」

沈黙が続く空間に、ガチャリと音がしてドアが開く。

「っ、忠義！？休んどかなあかんって！」

「せやで忠義くん、まだ熱あるやろ？」

「…でも、ずっとここに、おるわけにいかんもん、」

「んな事無いわ、治るまでずっとおったらええし、俺らも全く困らんから、な、」

「…、でも、いかなきゃならんねん、…ごめんなさい、ゆぅくん、…ありがとう」

フワリと微笑むと、その場を立ち去った。