検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:23,124 hit

君だけの ページ18

年上とおぼしき、新雪のような白肌の少年が部屋に入ってきた。



「わからない事があったら何でもこの子に聞いてね」


それまで澄ました顔をしていた彼は、驚いたように園長を見上げた。





そんな彼をお構いなしに「じゃあ、よろしくね」と古い型の眼鏡の奥で年老いた目を細めた。



叔母さんにほら、挨拶してと促されて小さく口の中で「よろしくおねがいします」と言った。



戸惑っていた少年が「おん、よろしく」とぎこちなく言い、大人だけが微笑む空間に二人だけが取り残された。





「では、園長先生宜しくお願い致します」


他所行きの笑顔で、叔母さんが一人で場を去ろうとするので、顔を見上げると



「あら、まだ言ってなかったわね。あなたは今日からここで暮らすのよ。それじゃあね、」

と、肩の荷が下りて安心したように告げられた。





あぁ、またか、と何度も繰り返される状況を俯瞰していた自分に嫌気がさした。


「外までお見送り致します」と園長が部屋を出ると、気まずい沈黙が続いた。




「寂しないん、自分」


突如かけられた言葉に振り向くと先程の少年がこちらを見ていた。



何度もループするように流れていく時間に慣れていたので、頷くとふぅん、と返された。


「せやったら、荷物持ってこっちや」

先程まで戸惑っていた表情が抜けて頼れるような表情になった彼の、この地区では珍しかった言葉に不思議と懐かしさを感じた。



叔母さんが持ってきたくれた大きなボストンバックを肩に掛けるが、かなり重くて歩くのがやっとだった自分の姿を見ていた少年が、

「ん、」

と、手を差し出してきたので、意図を汲み取れずにいると

「、持ってやるから、はよ、」

と、少年の不器用な優しさが見えた。





誰かに優しくされるのが久しぶりで、思わず頬を緩めると、雪のような顔に赤みが差したように思えた。

*作者より→←空をきる感情



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
設定タグ:関ジャニ∞ , 大倉忠義 , 錦戸亮   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年3月2日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。