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それからというもの、すっかり俺は"名無し"の虜に。





移動中や家にいる時はほとんど聴いとる。





メンバーの時とおるときにもたまに話題に上がるくらいやから相当な社会現象になっとるんやな。




どんな人なんやろう。




果たして男かも女かもわからへんけど。





気づいたら俺、この人にものすごく興味を持っていて。





たまに調べたりもするけど、情報なんてひとつも上がってこないし。




なんて考えながら、自宅のマンションのエントランスに入る。




カウンターの人に軽く会釈して、エレベーターを待ってると




香水とタバコの混じった香りが鼻の奥をついた。




そっと後ろを向くと、俺より30cmくらい身長の低い女の子。



だぼだぼの上下のスエット。長い金髪はフードで隠れてて。




手にはコンビニの袋と財布。




この子、ここの住民なんか?




自分で言うのもなんやけど、結構ええところに住んでるんやで。




気づいたらエレベーターが来てたみたいで、その子は俺の横を通り過ぎてエレベーターに乗り込んだ。




あ。




エレベーター取られた。




そんなことよりも、鼻に残るあの香りが忘れられなかった。

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作者名:逢碧 | 作成日時:2021年1月17日 16時

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