弱音 岩本side ページ6
年が明けて、滝沢歌舞伎の稽古で俺らも忙しくしていた。2月からは京都の南座公演で、明日にはもう移動する。
しばらく会えなくなるなぁと思いながらふっかと見舞いに行くと、Aに帰ってほしいと言われた。
そんなこと言われたのは初めてで、少し俺らも戸惑った。
「どうしたの?何かあったの?」
いつものように優しくふっかが聞くけど、Aは何もないの一点張りだった。
「何もないことないだろ?何かあったら俺に言えよ?聞くことくらいならできるからさ。」
俺もできるだけ優しく聞いてみたつもりだったけど、その瞬間Aの何かが切れた。
バンッ
「話したら病気が治るの?どうしたらいいの?何を頑張ればいいの?頑張るって何なの?ねぇ…教えてよ…ねぇ…」
暴れて、点滴を外そうとするAをふっかが慌てて止める。
ふっかの手を力いっぱい振り払おうとするけど、抗がん剤でだいぶん痩せ細ったAを止めるのは難しくなかった。
Aの手は震えていた。
俺はAの手を強く握る。
「大丈夫、大丈夫だから。」
「何が大丈夫なの?私の何がわかるの?」
「大丈夫になりたいよ…生きたいよ。みんなのところに戻りたいよ。でもね、もう大丈夫じゃないかもしれない…」
涙いっぱいにAは話した。
治療が始まって初めてAが弱音を吐いた日だった。
「ごめん、今は誰にも会いたくない、、」
この日、Aの担当医から聞いた。
Aの白血病がリンパ節に腫瘍が見つかったことを。
残存する白血球細胞の増殖を抑制する地固め療法が始まってから3ヶ月が経った時だった。
285人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まなこ - かんどうです (2022年9月27日 17時) (レス) @page24 id: 30c80275a0 (このIDを非表示/違反報告)
未宙(プロフ) - すごく良かったです。紅一点もの好きなので、こういう感動系が好きなので、すごく良かったです。これからの活躍も期待してます。全部読みます!! (2019年12月3日 21時) (レス) id: 4c14102a5c (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 美紀さん» SnowMan本当に素敵なグループですよね。お気遣いありがとうございます。頑張ります。 (2019年11月18日 18時) (レス) id: 528b8ca7f4 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - SnowMan大好きです最高です亮平くんと涼太君と翔太くん寄りのオール担当です気温の変化が激しいので気を付けて更新大変だと思いますが頑張ってくださいね応援してます (2019年11月18日 13時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めぐ | 作成日時:2019年11月17日 10時