幽霊と同居中 fuma.k (ページ10)

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風磨「信じてくれた？」

「…いや！信じないから！もう出てってよ！！」

悲しくなるの。

風磨くんのこと思い出すと。

楽しかった記憶がどんどん溢れてきて、前に進もうって思ったのに進めなかった。
忘れさせてなんかくれなかった。

８年も前の記憶、今でも鮮明に覚えてる、

風磨「…やっぱり無理か。笑

今日、命日だったんだけどなぁ」

命日……

なんで、それ知ってるの……

ねぇ、あなたは誰…？

「……」

力なく笑った目の前の男の人は立ち上がったと思ったら、玄関の方へ歩き出す。

「どこ、行くの……」

後ろ姿に声をかける。

風磨「え？まぁ、ふらふら？そこら辺歩いて野宿？笑」

「野宿……」

本気に言ってるの…？

今どき野宿だなんて、ホームレスだと思われて職質されるよ…？

この人が幽霊なのかはたまたほんとにヤバイ人なのか、私には分からないけど帰る家がないのは確かで…

でも、そんな格好で外で寝られると思ってるわけ？

4月とはいえ、夜はまだ寒い。

「…家ないの…？」

風磨「まぁ。実家に帰るのもなぁ、俺の仏壇とか置かれてて見たら虚しくなりそうだし」

「あなた、幽霊なの…？」

風磨「そうかもな。でも、Aには見える。逆にAにしか見えない。せっかく現実世界に戻ってこられたのに、なんか悲しい笑」

まただ、悲しそうな笑顔

風磨「ごめん、すぐに出るから！笑」

そんな悲しそうな顔で、今にも泣きそうな顔で言われたらこっちだって……

「……ここに…いれば、いいじゃん…」

風磨「え？」

「どうせ行く当てないなら、ここしかないでしょ。あなたのこと見えるの私だけなら。」

幽霊とか全く信じたことなかったけど、

この目の前の菊池風磨の幽霊と名乗るこの男性を、何故かそのままには出来なかった。

風磨「…ありがとう」

小さく笑った顔が風磨くんに似てた。

今日から幽霊と同居することになりました。

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