ニゲラ ページ10
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今日、Aは教室に来なかった
嗚呼、昨日なんで追いかけなかったんだろう 。
机に突っ伏して、ぼぅ、っと考える
残された後悔が、頭の中を重く沈める
「...」
でも 。
...でも、追いかけたとしても、俺は 。
何て声をかけてあげれば良いのかわからない 。
だからきっと、彼女が今日来ないのは変わらなかった
と思う 。
なんて声をかけたら良いか分からず失敗して
彼女に嫌われてしまうのならば
追いかけなくて良かったのかも知れない...
なんて 。
―――こんなの、只の言い訳か 。
本当に、馬鹿だなあ、俺 ...
「おーい、莉犬くんー?」
「いい加減目ぇ覚ませや、お前」
「...え!?」
耳元で突然声をかけられ、驚いてばっ、と上を向くと
優しい微笑みに、お調子者の笑顔
俺の、5人いる親友の中の、残り2人 。
「っ、なーくん、ジェルくんどうしたの...?」
あまり教室に来ない2人が、珍しい 。
るぅとくんやころちゃん、さとみくんはお昼を誘いに
よく来るけど、この2人が直接来たのは今まででもほんの
数回くらいだ 。
「ふふふ 。莉犬くんへ、大事な大事な伝言を
預かってきました 。」
「耳の穴かっぽじってよく聞けよーー?」
「う、うん...」
なーくんは微笑んで俺の耳元でこっそりと喋った
「明日の午後8時、学校へ 。一緒に星を見よう 。...って
Aちゃん が 。」
「...!...Aちゃんが...?」
...でも、何で急に?
それに、学校空いてるの...?
「もしかして、莉犬くん学校空いてるかとか心配
してる?」
「え、うん...まあ」
なーくんはふふふ、と自慢気な表情を浮かべた
「この俺を、誰だと思っているのかな?」
「生徒会長様やー!」
「...ジェルくん..そう、それと??」
「あ、天文部部長やー!!」
「そうなのさ!莉犬くんどういうことか分かるかい?」
......もしかして
「うん...ありがとう 。」
「いえいえ 。上手く手は回したから、何も
心配することはないと思う 。...頑張って 。」
そう言って笑ったなーくんの瞳は、優しかった 。
「あと、これも 。Aちゃんが 。」
「...これは、花?」
手渡されたのは、青い花びらと細い葉が特徴的
な花
「ニゲラ、っていうんだって 。」
―――手の中のニゲラが微笑んだ気がした
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月餅(プロフ) - 紫呉さん» すっごく嬉しいです、ありがとうございます...!花言葉と話の内容が上手く結びつけられて個人的にもお気に入りです(笑)他の作品の更新、がんばります!! (2021年7月11日 10時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
紫呉 - もう、お話が奇麗すぎて…マジで感動しました。このお話のおかげでいろんなお花を知れました、とっても面白かったです!!違う作品の更新も待ってますね!これからも応援してます! (2021年7月4日 11時) (レス) id: 8b07943982 (このIDを非表示/違反報告)
月餅(プロフ) - バナナくんが尊いさん» 応援ありがとうございます!細部まで工夫だなんて...そう言って頂けて凄い、嬉しいです(笑) (2021年4月4日 15時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
バナナくんが尊い - ニゲラ、ね。花言葉が鍵なのかな…??細部まで工夫されていて、とても素敵でした!応援させていただきます! (2021年4月4日 9時) (レス) id: afebd09899 (このIDを非表示/違反報告)
月餅(プロフ) - 桜あややさん» わああ、嬉しい...( 涙 ) 更新がんばります、ありがとうございます! (2021年3月28日 16時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月餅 | 作成日時:2021年3月26日 7時