検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:6,382 hit

four ページ6

.




「Aちゃん...は、病気持ち、なんですか?」




ある日の夕暮れ

夕日を浴びて橙色の光を帯びる彼女に
そう訪ねた

まだ受け入れられないと 、彼女との間に見えない壁を作って
うずうずと様子を伺っているような臆病な僕は情けなくも呼び
慣れない彼女の名をたどたどしく口にする 。


気になっていた


もし、...もしも 。

僕と同じ此方側(病気持ち)の人間なんだとしたら 。


なんでそんなにきらきらしていられるのか

何故何の不安も持たず明日を待てるのか

同じ筈なのにどうしてこんなにも僕と違うのか


それがどうしても知りたかった

彼女というのは僕にとって
実に羨ましいもので、けど同時に憎たらしいもので

彼女のようになれたらと強く切望するほど憧れる

矛盾ばかりを生む不思議な存在 。



この病院へ毎週僕を訪ねてくる彼女

決まってそれは週末で 。

身内の誰かが病気で毎日通っているのか
はたまた自分が病気なのか...



兎に角、謎だらけの彼女の素性を知りたかった

それでもし、本当に病気持ちだったとして、
本当に人間なのかと疑うほど綺麗過ぎる心を
持つ彼女に粗があるのならば


結局同じじゃないかと

僕は間違ってないと

嘲笑ってやりたかった








「___ううん、私は違うよ」









鈴の音のような声が静まり返ったこの部屋に
やけに響いた気がした


はっきりと聞こえたのは、否定の言葉


此方をじっと見つめる彼女の瞳は

限りなく透き通っていて




___絶句した




「へぇ...そう、ですか」


「...お父さんが病気でね 。」


「それ...、重い病気なんですか?」


「...うん 。でも、私は絶対治るって信じてる 。
だから大丈夫!」


「...、」




___何が、何が大丈夫なんだ

何でそこまで信じられる...?


分からなかった

ひねくれた僕には到底分かるはずもない考えだった

だって、治る確証もないというのに何故そこまで
はっきり言いきれる?


無意識にギリリと歯を噛み締める

彼女はそんな僕の様子気付いたのだろう、此方をちらりと見て
困ったような顔をする




「どうかした...?」


「...いえ、別に」




僕は、何を期待していたんだろう




.

five→←three



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
59人がお気に入り
設定タグ:すとぷり , stxxx , るぅと
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

水森千紗 - 月餅さん» こちらこそです〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!続き!頑張ってください!!! (2021年9月26日 7時) (レス) id: 1f7aa92db8 (このIDを非表示/違反報告)
月餅(プロフ) - 水森千紗さん» いえいえ(*´-`) これからも本作品をよろしくお願いします (( (_ _*) (2021年9月25日 23時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
水森千紗 - 夜遅くになってしまって申し訳ないです・・・。でも、これからも見ていかせてください!!!! (2021年9月24日 21時) (レス) id: 1f7aa92db8 (このIDを非表示/違反報告)
月餅(プロフ) - 水森千紗さん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです(*´∇`*) (2021年9月24日 18時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
水森千紗 - 初コメ失礼します。すごく心に刺さる作品で、素敵だと思います!!続き楽しみです!! (2021年9月23日 21時) (レス) @page5 id: 1f7aa92db8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:月餅 | 作成日時:2021年9月15日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。