虎視眈々【 青/桃 】

28.ただ、一言 ページ33

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「＿＿そっか...ごめん、余計なことして」





彼の表情は見えなかった


ただ、一言 。淡々とそう告げた



勢いよく振り払われ、行き場を失った彼の手は
静かに空中を扇いで、力を失っていく




＿＿やってしまった




「...あは、ころちゃん分かってくれました？そういう
ことなんで、これからは僕のA先輩、誑かさないで
くださいね？」


「...分かってるよ 。」



ころんくんはそう静かに呟くと此方に背を向けた


その背中は酷く華奢に見えて 。



"「待って」"



そう開きかけた唇が、ふ、と虚しく空気だけを溢す



その視線の先



彼はふと此方を振り向くと、静かに此方を見つめていた








「＿＿＿＿」








「え？」








「...じゃあね」









「...あ、...待、って、ころんくん、」



「まって、待って...っ」




その瞬間、ぷつり、と恐怖の糸が切れて


我慢していた涙が止めどなく溢れだす



溢した言葉はもう、去っていってしまった君には届かない


君が口元だけを動かし最後に伝えた言葉


勘違いじゃない、それは確かに...





「なんで、？ ころんくん...」





"き み が 好 き"

だなんて 。



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