25.黄色の思惑 ページ29
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「なんで...?」
喉から出した声が少しだけ掠れる
目の前の彼は表情を
ふ、と失くし
呆れたように問いかけた
「それは、貴女自身が一番よく分かってるんじゃ
ないですか」
「わ、わからないよ...どういうことなの」
「...本当、そういうところですよ 。僕が言いたいのは、」
彼は何かを言いかけたが は、と静かに息を飲む
「...いえ、なんでもないです 。」
静かにそう呟くと、ちらりと蜂蜜色の瞳だけを
此方に向け
「...あー、本当に先輩って悲劇のヒロインって感じで
可哀想ですね 。ムカつきます」
「...、」
ぎろり、と鋭く睨み付けてきた
私はびくりと肩を震わせる
「ふふ、やだなぁ、そう怖がらないで下さいよ 。
僕が悪いみたいじゃないですかぁ 。
...僕はただ、先輩を二人から遠ざけたいだけなん
ですよっ」
また、ころりと表情を一変 。
頬に人差し指を添え、にんまりと笑みを浮かべた彼
可愛らしいけれど、その瞳の奥で何を考えているのか 。
何処か不気味な雰囲気を持つ彼にぞわりと
鳥肌が立った
「と言っても、正直あの二人は何しても貴女から
離れそうもないので気休め程度ですが...」
そう言うと、彼はぐっ、と距離を詰めてくる
あまりの近さに驚いて私は一瞬息を止めた
距離を離そうとすればすかさず腰を抑えられ、
逃げられなくなる
「あーあー、逃げないでください、じっとしていれば
良いんです...そう、されるがままの人形のように...」
ひゅ、と小さく喉が鳴った
恐怖からか、全身が凍りついた様に動かない
さっきから怖い、なんなのこの人...
嫌だ...!
「やめて、離して」
「ふふ、...ねぇ、知ってますか?あの二人は大事な
ものを盗られると...」
"すっごく怖い顔で怒るんですよ"
ちゅ、
「...!?」
唇に触れる柔らかい感触に、響いたリップ音
一瞬で頭が真っ白になる
嫌だ、嫌だ...っ
あまりのショックと拒絶で
じんわりと涙が浮かび上がってくるのを感じた
そんな私を見て、目の前の彼は静かに目を細める
__刹那、後ろから勢い良く腕を引かれた
「おい、何やってんだよ」
聞き慣れた声
然れど、今まで聞いたことのない低い声
「ころん、くん」
久しぶりに間近で見た彼の青に
酷く安心した
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月餅(プロフ) - カレカノさん» ありがとうございます...!!( ;∀;) (2021年9月23日 14時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
カレカノ - 更新、待ってます!この小説好きです! (2021年9月22日 17時) (レス) @page37 id: cdb95f15bb (このIDを非表示/違反報告)
月餅(プロフ) - momoさん» ありがとうございます!亀更新ですが何卒...!(´;ω;`) (2021年9月15日 11時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
momo - とっても面白くて好きです! (2021年9月14日 18時) (レス) id: db4549755e (このIDを非表示/違反報告)
月餅(プロフ) - ひかるさん» ありがとうございます(*´∇`*) (2021年8月27日 21時) (レス) id: f3182ca5ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月餅 | 作成日時:2020年9月26日 19時