虎視眈々【 青/桃 】

23.揺蕩う ページ27

.


それから私は

さとみ先輩に言われた通りころんくんと
距離を置いた

私の態度に戸惑いまるで捨てられた子犬の様な顔を
する彼を横目に



「さとみ先輩」



なんて、先輩の名前を呼んで、隣を歩くの




ずきりと痛む心臓に


知らんぷりをして 。




私は毎日先輩に聞く



「ころんくん、どうですか...？」



すると先輩は決まってこう答える



「ごめん まだ、分からない」



先輩はたまに何処を見ているのか分からない

何を考えているのか分からない


...最近、私はなんだか一人だけ
置いてけぼりにされてる様に感じる

ころんくんと先輩、二人が
何か私に隠し事してるんじゃないかって

思うときがある 。


気のせいかな ...



「桃瀬先輩、」


「？」



先輩は瞳をこちらに向けた


そして、愛しいものを見るかのように


そのアメジストみたいに綺麗な瞳が

ふわりと優しく色を変える



は、と思わず息を飲んだ



「...、なんでもない、です」



何故だか顔が熱くなって

私は顔を背ける




やっぱり


最近私は


二人の態度に心を振り回されてばかりだ




.

24.黄色の影(お知らせ)→←22.小さな亀裂

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す