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0.3独占 ページ4

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松野一松は精神病にかかっている。
発症したのは今から一ヶ月前。原因は不明。

元から彼はネガティブ思考で後ろ向きな性格だが
病気にかかってからはそれがさらに加速した。


―――――

「ホエホエー。恐らく一松くんは
 精神病にかかっているダス。」

『...それは、何の病気でしょうか。』

「ホエ〜、正直何の病気かははっきりとしてないダス。
 原因もよく分かってないダスから。」

『そうですか...。』

「一松くんの様子を見るに何か大きな
 トラウマを抱えているように見えるダス。」

『大きなトラウマ?』

「精神病にかかると幻覚や妄想等の
 症状が出てくるダス。」

『どうすれば治りますか。』

「原因が分からない以上一松くんの
 心の持ちよう次第ダスね。」

―――――

それから火傷、リスカット、自 殺未遂など
彼の自傷行為、自 殺行為が続いている。

現に、今日氷点下の中薄着で外にいたのもその一つだ。
そんな彼の姿を見るたびに私は
心臓が破裂しそうになる。

その都度私の部屋から彼を傷付けるものが
無くなりすっかり物寂しい部屋になってしまった。

基本的に彼が外出できないようドアにも
外からもロックがかかっているのだが、
それだと息苦しいと思いベランダを開放している。

飛び降りこそはしないものの
こういう形で仕掛けられたのは盲点だった。

後で対策を考えないと...。


『今日は肉じゃがだよー。』

「...ん。」



元々は松野家で介護をする予定だったが
一松くんの希望により私と同棲することになった。
賛否両論があったが今では皆納得してくれている。

自閉気味だった一松くんも徐々に
私に心を開いてくれたのは純粋に嬉しかった。


―――――

「Aがいい...Aじゃないと駄目なんだ...」

―――――

自然と口角が上がっていくのが分かる。
家族ではなく恋人である私を選んでくれたことに
ひどく優越感を覚えた。



『(今日の味付けは甘めにしようかな)』



グツグツと煮込んできた鍋の中に
ポトリと一つ、角砂糖を落とした。


**

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作者名:奇跡の創作者 | 作成日時:2020年4月21日 21時

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