及川という花は枯れた。

相棒だったその人は。 ページ22

ミレです！今回はなんと初めての岩ちゃん視点です！
………………………………………………………俺はショックだった。幼馴染の及川が、マネージャーを襲っただなんて。信じられなかった。だって、あんなに仲間思いだったんだ。でも、目の前の光景を見たら信じざるおえなかった。信じたら見捨てるのは早かった。無意識に出ていたこの言葉。「出てけ。」たった3文字の言葉がきっと及川の心を深く抉ったんだろうな。
今日は部活がオフだった。
俺が帰ろうと歩いているとなんだか屋上から悲鳴が聞こえてきた。何だろうと、立ち止まってみると一瞬何が起こったのかわからなかった。
目の前に、俺の大切だった相棒が落ちてきたのだ。
「…………は？」
何が起こったのか理解できなかった。それもそうだ。普通、上から人が落ちてきたら呆然とするのは当然だろう。
「…嘘だろ？」
俺は急いで駆け寄った。やはり、落ちてきた人は紛れもなく俺の相棒だった人、「及川 徹」だった。
「う、うぁ…」
きっとすごく情けない声なんだろう。でも、そんなことより、ただ、恐怖だった。
そして数分後サイレンを鳴らして救急車が入ってきた。
俺が状況を理解して絶望のどん底に落ちるのは一瞬だった。
(あれは本当に及川なのか？あの、元気で少しうざかった及川なのか？あんなにやせ細った奴が？俺があいつを信じてやっていればこんなことにはならなかったか？俺はあいつになんて言った？「出てけ」って言ったよな？………なんでだよ、なんでそんなことが言えるんだよ、ふざけんな、自分が死ねばよかったんだ。こんな最低な自分は存在価値がない。及川の大切な人生を奪ったんだ。俺が。人殺しだ…俺は、及川という人間を言葉の狂気で殺したんだ…)
俺はその場に崩れ落ちた。
そして、涙が止まらなかった。自分への恨みと、後悔と、憎しみ。それらが、涙として目から溢れ出ていたのだ。
ゴメンな、及川。許されることではないけれど、謝らせてくれ。

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