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(side A)


「さっさと歩け!」

私は今 乱暴な扱いを受けながら、無機質で長い廊下を歩かされている。
品定めすると部屋から連れ出されたはいいものの…どうやらこの艦は人身売買を目的とする商人が所有しているようで、私はこれから商品として売り出される予定らしい。

ドラビアンナ●トのしずかちゃんみたいに鞭でビシバシ叩かれたりするのだろうか。想像しただけで涙が出てくる。今凄く青い猫型ロボットとお近づきになりたい。
どうにか逃げ出せないかと様子を窺うも不審な動きをするなと後ろから殴られた。お願い神さま、この人の頭に大量のフランスパンを落としてください。

「あり、こんな所で何してるの?」

正面から降ってきた声に顔を上げると神威さんがそこにいた。フランスパンの代わりとばかりの登場に呆然としていると、後ろで「神威殿…!?」と慌てる声が聞こえてきた。

「で、何してるところ?」

「こ…これより品定めを行う予定が御座いまして、その為の準備に」

「品定め? へ〜、売るんだ。ソレ」

蒼い瞳が私へ向く。
頭から足先まで舐めるように見られて居心地が悪い。

「いくら?」

「まだこれは売り物では…」

「でもこれから売るんだろう?
春雨(ウチ)とアンタたちの仲だ、少しくらい融通利かせてよ」

「しかしわたしの判断では…」

「どうせ売れ残るでしょ、そいつ」

立場的に神威さんの方が上なのか、押し問答の末 男の人は言葉をつまらせた。

もしかしてこの流れは助けてもらえる流れ……!
本人を前にして売れ残るどうのと言っているのはこの際気にしない。この世界にやって来て初めて神威さんがお客様でよかったと心の底から思えた。
酷く困った様子の男を横目に 神威さんは私の脇に手を差し込むと米俵を担ぐようにして肩に乗せた。あれ、デジャヴ。

「アンタの上司には俺から言っておくよ。
じゃ、これは貰ってくね」

我が道を行く神威さんを止められる人は恐らくこの場にいないのではないだろうか。ユサユサと揺れる視界から艦の船員が外れたところで、口を開く。

「…あの、ありがとうございます」

「何のこと? 俺はただアンタを買っただけだ、恨まれはしても礼を言われる筋合いはないよ」

「え、 待ってください。私 お客さんに買われたんですか!?」

「善意で助けるほど 人が良いようにみえる?」

にこにこと笑みを絶やさず問い掛けてくる神威さんに何も言い返すことができなかった。

…ああ、神威さんはこういうキャラだった。




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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時

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