出前少女と兎少年 ページ1
AA、18歳。
幼い頃 道行く人に、ぼんじゅーる!と挨拶して回っていた程に
いつかお金貯めて世界旅行へ…そんな夢みていた私ですが、気付けば知らない土地にワープしていました。
何を言っているのかよくわかりませんよね。
ええ、そうなんです。実のところ当事者の私も自分の身に何が起きたのか、よくわかっていないんです。
───…
多勢のお客様で賑わいを見せる店内に、引き戸が開く音が鳴った。反射的に口元をにっこり微笑ませ、お盆を胸に抱いたまま振り返る。
「いらっしゃいませ。 何名様でしょうか?
…二名様ですね!只今テーブル席が満席の為、すぐにご案内出来るのはカウンター席のみとなります」
にこにこ愛想のいい笑顔を新たなお客様に向け、空いている席へ案内を済ませる。流れるようにスライスしたレモンと氷水が入ったピッチャーを手に取り、グラスに注けば、カラン…と耳触りの良い音が響いた。
(───嗚呼 知らない土地でバイトに勤しむ私を誰か助けて下さい。神様仏様、お願いします家に帰して下さい)
…えっ、望んでいた旅行だろう。って?
違うんです。私が夢にみていた旅行先はこんな全身緑色で触覚の生えた某漫画の住民みたいな方が住む土地ではないんです……!!
「Aちゃーん、休憩ー。暖簾しまっちゃってー」
「はーい!」
最後のお客様がお帰りになり、ひょこりと店の奥から顔を出したこの人は、路頭に迷っていた私を拾ってくれたすごい良いピ●コロさん。このお店の店長さんである。
正直初めてこのお店に連れて来られたときは食べられると思った。物理的な意味で。あの時の私は顔面真っ青で店長の真緑差といい勝負をしていた。
「わぁ、今日は肉じゃがなんですね!」
「地球じゃ馴染み深いんだろう?」
「そうですね。 私の住んでいた所では、家庭の味を代表する料理です!」
そう、今の会話でお察しいただけた方もいらっしゃるかと思いますが何と今私がいる土地は地球ではないのです。 コロッピー星という惑星…らしいです。
そしてこのコロッピー星で何故か地球のご飯がブームになっているらしく、店長はこの波にのるっきゃねえとお店を開いたそうで。
正直そこらの人が作るご飯より味は美味しくてその評判はあっという間にこの星の住人の知るところとなり、最近では出前注文も頻繁にあって嬉しい悲鳴が上がっている。そして私の体力も悲鳴を上げている。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時