危機一髪少女とお見合い兎 ページ38
最近第七師団はある噂でもちきりである。
「聞いたか? あの話」
「アホ…阿呆提督の娘だろ?
下手に蹴れねェと阿伏兎がボヤいてたぜ」
「嬢ちゃんはどう思うよ」
食事を終えた団員さんたちは、満腹になったお腹を擦りながら話を振ってきた。用済みの食器をお盆に乗せる手を止めて、瞬きを繰り返す。流れからして例の噂話のことだろう。話を掴んだところで作業の手を再開する。
「そうですね〜…可愛くて私に優しくてそんな気立てのいい方なら大歓迎ですね! ついでに私にも石油王紹介してくださると尚嬉しいです!」
「で? 肝心の団長はなんていってんだ?」
「話振っておいて無視しないでください」
聞くだけ聞いてすぐに蚊帳の外。溜息一つ零して、調理場へ向かう。その道中 至る所から聞こえてくるのは神威さんと阿呆提督の名前。なんでも神威さんが阿呆提督の娘さんとお見合いをするらしい。
直接 側近の阿伏兎さんと神威さんから話を聞いた訳ではないので、実際本当の話かどうかはわからないけれど、噂は艦内の誰もが知るところとなっている。
阿呆提督の娘さんって、強い人なのかな。
強いなら神威さん的には文句なさそうだけど…いや、いやいやいや。いけませんよ。だって神威さんは私と同じ18歳、そんな、いやいやいや駄目ですからね。
私より先に結婚とか子供作るとかそんなことお母さん許しませんからね!
「というわけで、私より先に結婚されると困ります。
是非私にも素敵な人紹介してください。
もしくはコロッピー星か地球に帰してください!」
「何がというわけだ」
「だって団長さんが結婚したら私目の前でその新婚生活見る羽目になるんですよ。
折角18年間溜め込んだモテ期吸い取られちゃいます!
どうしたらいいですか阿伏兎さん!」
「言ってること滅茶苦茶じゃねェか」
俺だってなァどう断るか頭抱えてるんだ、と嘆く阿伏兎さんにこれはいつもと同じ神威さんから丸投げ…任されてしまったんだなと察する。
「断る理由……。普通に団長さんの力加減で娘さんパーンってしちゃいますよ、じゃダメなんですか?」
「そんなこと言ったら飛ばされちゃうから。
おじさん達がパーンって飛ばされちゃうからね」
その前に神威さんがパーンって提督の首飛ばしちゃいませんかそれ。なるようになりそうだが阿伏兎さんの悩みっぷりにこっちまで悩んでしまう。
「顔合わせの曜日は決まってるんですか?」
訊けば、明日だ…と。急過ぎませんか。
ああでも噂だけは前々から流れていたから急過ぎるわけでもないのかな、うーん。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時