忘れ物。 ページ23
あなたside
− ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ
廊下から大きい足音が聞こえる
多分、うちのお客さんの誰かだよね？
忘れものかな？
流星とか大丈夫かな？
「…ぁ、」
中間「すまん、忘れもん」
エレベーターではなくて、
階段を登ってきたのか
息を切らした淳太くんがいた
「珍しいですね、流星とかは大丈夫ｯ………」
この温もり、
大好きな温もり
暖かくて大きくて安心する
何？忘れ物って……
「あ、の、」
中間「もう会えへんから…」
「え……」
中間「1月から忙しくなるから……」
言葉は少なくてもわかる
ずっと淳太先輩は嘘ついてた
3月まで仕事場にいたら間に合うわけない
1月でもギリギリだと思うのに
無理して伸ばしてたんだよね
気づいてたけど、気付かないふりしてた
最近残業が多いのも、もう"先輩"が居なくなるから
「……知ってた」
中間「そうか、知ってたんやな」
「3月までいたら、再結成間に合わないでしょ、笑」
さっき泣いたから、
笑顔でいたい
私なりの精一杯のお見送り
中間「A……」
中間「さっき言ってた好きな人に幸せにしてもらうんやで」
みんな踏み込んでこなかった
"担当より好きな人"
だって、
聞くまでもないよね
淳太くんは気づいているのかな
「……うん、」
中間「ほんまにまじでAのこと忘れへんし
絶対に再結成して、アイドルになるから」
「うん、待ってるよ、応援してる」
中間「ほんまは、、」
∣
中間「職場の同僚とかやない、
俺、Aのことが好き」
「……うん」
中間「行ってくるな」
お願い、時よ止まって
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作者名：ﾋｶﾙ｡ | 作成日時：2023年8月3日 22時
