【2j3j】誘拐先は吸血鬼の館でした【ⅱ】 (ページ8)

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消さなきゃページ8

“永遠”に家族。

母はそんなカルミアの言葉をすっかり信じてしまった。これから3人で幸せに暮らすのだと、明るい空想を並べながら。

しかしそんな幻想はすぐさま打ち砕かれた。

カルミアはそれから1ヶ月ほど後に、政府の吸血鬼狩りの連中を連れて家にやってきたのだ。
どうやら僕らの居場所の情報を売ることで、報酬として大金を得たらしい。

金に目が眩んだカルミアは簡単に僕らを売った。あの日交わした約束も無責任に忘れて。

あぁ。本当に。
永遠なんてくだらぬもの、二度と信じてやるものか。

目の前で撃ち抜かれる母を見ながら強く決心した。母はその口に多量の血を吐いて泣いていた。
あんなに強くて優しくて憧れだった人が、こんなにもあっけなく温度を失っていく。

「さぁ、次はお前だ。」

吸血鬼狩りが僕の額に銃口を突き付ける。
その時の僕には母を殺された怒りも悲しみも無かった。

ただ、誓えもしない戯言で僕らを騙し命を奪おうとしたカルミアとその仲間を酷く軽蔑した。
人間という存在が悍ましく思えて仕方無かった。

「……さ…きゃ」
「あ？何と言った？」

眉を寄せる吸血鬼狩りに、今度ははっきり呟いた。

「消さなきゃ。」

＿＿＿＿この悍ましい人間たちを全て。

瞬きの間に僕は鋭い爪で男の首を掻き切った。溢れ出る血を口に含むと、他の吸血鬼狩りに飛びかかる。

奴等は驚くもすぐに銃を向けてきた。それを俊敏に躱すと一斉に切り付ける。

途中で吸血鬼狩りのうち1人が持っていた銃を奪いひたすらに乱射した。その度に赤い飛沫が花弁の如く散っていく。
それらを飲むと身体の底から力が湧き出る感覚がした。

そうして全ての吸血鬼狩りを殺し切った時、僕の身体は地面へと倒れ込んだ。
これまでに無いくらい集中していたらしく、全てが終わった瞬間に琴線が切れた。