【2j3j】誘拐先は吸血鬼の館でした【ⅱ】 (ページ7)

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カルミアページ7

それからというもの、男は僕らの家に訪ねてくることが多くなった。

最初の方は「せめてものお礼に」と菓子折を持ってきていたが、暫くすると特に理由も無いのにやって来るようになった。

彼の名前はカルミアというらしい。カルミアはその人懐っこい性格からあっという間に家に溶け込んだ。
母は彼を可愛がっていたし、僕もその頃にはカルミアは信頼に値すると理解していた。

そして彼と出会ってから2ヶ月も経つと、子供ながらに察した。
何やらカルミアと母が“いい感じ”になっていると。

元々うちには父さんがおらず、僕も母にそれを深堀りしたことはなかった。居るのかな、でも別に居なくてもいっか、とそのくらいの認識だったから。
だからもし母とカルミアにその気があるのなら、僕も応援してあげよう。そう思っていた。

だけど。

「え……？」

カルミアが立ち尽くし、その手から土産物を取り落とす。
＿＿＿僕らが動物の血を吸うところを見られてしまったのだ。

今まで吸血の時間帯には気を遣っていたけれど、その日はカルミアが珍しく夜遅くに訪ねてきたから。全部バレてしまった。僕たちが吸血鬼だということも、全部。

殺されるのかもしれない。そう思っていれば、突然カルミアが僕らを抱きしめた。

「っ、今まで気付いてやれなくてごめん…！！
大丈夫だ、このことは誰にも言わない！！俺が君たちのこと絶対に守るから…！！
だからずっと一緒に居よう！！俺達は永遠に家族だ！！」

その言葉に、母はぽろりと涙を零した。