【2j3j】誘拐先は吸血鬼の館でした【ⅱ】 (ページ3)

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認めてページ3

どちらでもないというのは、どちらにもなれないということ。ありのままの彼を認めてくれる人は居なかった。

＿＿＿＿でも。

『私は逆だと思うな。』

「え？」とがっくんが顔を上げる。
その暖かい色の瞳に訴えかけるようにして、私は話した。

『がっくんは人間でも吸血鬼でもない。だからこそ、“どっちの気持ちも理解できる”特別な存在だよ。』

「……！！」

どちらでもないはどちらでもあるということだ。

現にがっくんは、人間の脆さも吸血鬼としての血の美味しさも知っている。人間と吸血鬼、どちらの気持ちも理解してあげられる存在なんて中々居ないはずだ。＿＿＿だから、

『自分を“駄目な奴”だなんて思わないで。
がっくんのその血は、いつか人間と吸血鬼を繋ぐ架け橋になるはずだ。』

そう言って私はがっくんに向き合った。

こんな言葉、もしかしたら夢物語なのかもしれない。それでも良かった。
彼が彼自信に自信を持てるようになることが私にとって何より嬉しいか。

がっくんは暫く固まっていたが、次の瞬間ぽろりと涙を零した。黄金の瞳から溢れる雫は恐ろしいほど綺麗で思わず見とれてしまう。
がっくんはゆっくりと言葉を紡いだ。

「俺のこと、認めてくれるんですか、？」

『もちろんだよ！優しくて料理上手でかっこいいがっくんを認めないはずないじゃん！』

食い気味に答えるとがっくんは少し笑った。
窓から差し込む夕日が彼を照らす。その姿はまるで人種をも超越したように美しかった。

たぶん私は正直なところ、彼が吸血鬼だろうと人間だろうとどうだっていいんだろう。がっくんががっくんであれば、嫌悪するものなど何一つ無い。