ラッパーのお手伝いさんはＤK【ヒプマイ】 (ページ22)

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( 話が飛ぶよ )

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朝の学校、いつもは二郎と一緒なんだけど、二郎が寝坊したから一人で来た。

いっつも遅刻ギリギリだから、たまにはこんなのもいいかなって。

「…あ、その本」

クラスの隅っこ
どちらかというと大人しくて、話したことない女の子。

いつもと違う時間に来たからかな。
声をかけちゃった。

「…ぇ」

彼女は驚いたような顔で俺を見た。

「その本、夢野幻太郎先生の本でしょ？好きなの？」

そう。彼女が読んでたのは夢野先生…もとい、幻太郎さんが書いた本だった。

「…うん、好き」

小さな声だけど、本のことを話せるのが嬉しそうに彼女は言った。

「そっか、俺も大好き。」

緊張がほぐれたのか、彼女は俺にたくさん本の話をしてくれた。

今まで読んだので一番良かった本、幻太郎さんの話。
あまりに楽しそうに話すから、俺も嬉しくなった。

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「…あっ、ねえ、今日夢野先生の新刊出る日だよね？しかも、シブヤでサイン会！」

「え」

俺は言われるまでそのことを知らなかった。

最近バタバタしてたから、チェックしてなかった…

「あ…忘れてた？忙しそうだもんね、教えれてよかったぁ」

「まじありがと、今日シブヤ行くわ…」

「うんうん。私は親が怖いから、イケブクロの書店で買う。」

ニコッと彼女は笑いながらいうけど、
本当はシブヤに行きたいって思ってるはずだよね。

こんな世界、男にも女にも、自由なんてないなら

壊してほしい。

でも、俺にはそんなことできないから

でも、この子のこと笑顔にさせれたら。

「サイン、もらって来てあげる。」

「え、悪いよ…！そんな！」

「ううん、そんなことないよ。俺も話せて楽しかったし。」

正直、前サインもらったから俺はもらえなくてもいいし。

「ほんとに、ありがとう！」

最初の彼女からは想像もできないような、キラッキラの笑顔。

写真に撮りたくなるくらいのキラキラ。

誰かが笑うと嬉しくなるなぁ。

「どういたしまして！」

今日は放課になったらダッシュでシブヤ。

幻太郎さんにも会えるしね！