このままで、そのままで 《石田彰》

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アニメ最終回を迎えてからというもの、石田さんとの共演作品がなく会うことも出来ていない。


そもそも、連絡先を交換とかもしていない。


元より、私はあまり人と連絡先を交換しないし特に話すような人もいない。




だけど、ほんのちょっとだけ




石田さんの連絡先は、欲しいかも。










「A〜！来てくれてありがとう！！」






今日は新人時代にお世話になった先輩の結婚式。
人混みは好きじゃないけど、お祝いに来たかった。





『おめでとうございます』



「こういう場、苦手だろうから来てくれるか不安だったけど嬉しい！！！ ご飯は美味しいの沢山あるから食べてってね！」






私のことも理解してくれる優しい先輩。
今日の花嫁姿も本当に綺麗だった。





そのとき。





「あれ？安島さんだ。久しぶり」





後ろから、新郎新婦に挨拶に来た石田さん。
会うのは本当に2ヶ月ぶりくらい。





軽く会釈をしたら石田さんはすぐに新郎新婦へ向き直った。





「結婚おめでとう。」



「彰さんありがとうございます！！


いやぁ、ほんと幸せっすよ！彰さんも結婚したらいいのにぃ！」



「余計なお世話だよ！この歳まで独身なんだから察してよね」



「ほんと、結婚は絶対した方がいいっす。絶対その方が幸せっす！！！」







そんな、新郎の言葉に私は少しだけムカッとしてしまった。






『そうですかね』






思わず口に出してしまっていた。





『結婚してない人は不幸せなんですか。

好きな人がいないと、幸せになれないんですか。

恋をしないと、良い人生とは言えないんですか。』







言い出すと、止まらなくなる。
こんなの、ダメなのに。せっかく大好きな先輩の素敵な結婚式なのに。





「安島さん。」





そういう時、決まって貴方が助けてくれる。




「そうだねぇ。安島さんの言う通り。


君たちふたりが今幸せなのは紛れもない事実だけど、それが人類全てに共通するわけじゃないからね。
現に僕はそういう相手がいなくても今は満足してるわけだし。」



「そ、そうっすよね…。安島さん、でしたっけ？すみません」





新郎が申し訳なさそうに謝ってくる。



だけど、その場に私はいられなくて




走って逃げた。

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