殺害したい嫁、死なない夫ーAfter storyー (ページ14)

今日:2 hit、昨日:12 hit、合計:63,256 hit

4 ページ14

「逃げたかと思えば親の死に際に顔を出す…か」

JN「世間体を気にしてだよ……

……父さん」

久しぶりに見た父は母の葬式の時よりずっとやせ細り、死ぬんだなって見るだけでわかる姿だった。

JN「縁を切りに来ました」

「はっ、殺されに来たか」

JN「俺も、兄さんのように殺すつもり？」

トンっと額に当てられた拳銃。

「縁を切るということは命を絶つということ。

殺しの世界のルールだ。」

JN「そっか。それでも、いいよ。

もう、俺の役割は終えた。」

「ガキを2人育てたらしいな。」

やっぱり、父さんにはもう知られていた。

「どうして、こんなクソみたいな俺にこんな優しい息子が2人も出来たんだろうな」

JN「ははは、俺も不思議で堪りません。

そこでふと思ったんですけど…

……貴方、本当に俺の父親？」

そう聞けば、その人は眉をピクリと動かした。

JN「変なこと、聞きましたね。

さぁ、どうぞ。お好きなタイミングで」

ずっと目を閉じれば父さんの小さな息の音だけが耳に響く。

物心ついた時から殺しを教えてくれた両親。
だけど、1度だって俺は殺しを正しいと思えたことは無かった。
いつだって、この状況から逃れる方法は殺ししかないと言う考えで行っていた行為。

兄も、俺も明らかに両親と考えが真反対なんだ。
でも、どうでもいい。俺はここで終わる。

「…とある依頼で一族を惨殺した。

小さな赤ん坊を抱いたガキが俺を睨んでいた。

知らない。殺してやろうと思ったのに俺は人生で唯一、その瞬間だけ引き金を引けなかった。」

JN「…っ」

「当時、まだ籍を入れてなかった母さんは反対した。

ガキを育てながら殺しなんて出来ないってな。

こいつらは息子じゃねぇ。弟子として殺しを教えると説得をして育てることにした。

でも、優しさに溢れたガキ2人の目を見てたらとてもじゃねぇが殺しなんて汚ぇ世界を見せたくなかった」

あぁ、だからなんだ。

＿＿＿＿「いいかソクジン。

殺しの方法ってのは色々あるが、最もバレにくくメンタルを保てる殺し方は狙撃に限る」

だから、貴方はいつも遠くから獲物を狙う狙撃を1番に教えた。

「俺が拾ってしまったせいで、お前らに残された道は殺しか死しかなかった。

お前の兄は死ぬ道を選んだ。あの日は酷く後悔した。

あの日、あの時…拾わないで殺していればあいつを傷つけずに済んだのにな

わかったろ。殺し屋は優しさを持ったらいけないんだ」

父さんは乾いた声で笑った。