GAME3 ときめきエッグ☆ムラサキノウエ ページ9
翌朝、外に集められて、連れてこられたのは農園のような場所。
｢第3ステージは恋愛育成シュミレーション。
この卵から生まれる少女を育成し、学園のアイドル、源氏ヒカルくんとの恋を見事成就させてください｣
そう言って巨大な卵の横でキャメルが説明する。
学園のアイドルて…
生まれてくる少女、ホンモノのアイドルの俺らじゃ満足できひんのか…？
そんな冗談はさておき。
｢正門くん、それ何？｣
たまたま目に入ったのはラクダのマスコットのようなものを抱く正門くん。
｢なんか可愛かったからつい｣
可愛いか？これ。
｢ああ、こちらは″キャメラ″でございます。
14番街の至るところに生息する撮影ロボットで、目がカメラになっております。
街の常設カメラと併用することでより臨場感のある撮影が可能なのです｣
キャメルとカメラとキャメラで掛けてるのか。
説明を聞きながらも正門くんは｢可愛いなぁおまえ｣なんてキャメラを撫でている。
｢それではご健闘をお祈りしております｣
卵はいつの間にか小屋の中に移動させられていた。
小屋に入り、卵の取説に目を通す。
｢″ときめきエッグ″は育成者の嗜好を汲み少女の容姿や性格を決めます。
孵化は温め始めてからおよそ1時間…やって｣
小島くんが取説を音読する。
｢ストーブとか、取ってくるわ｣
ぱたぱたと準備に走る。
｢育成者の嗜好を汲み、ってことはあっためながらどんな子がいいか祈る？｣
｢あー、それいいな｣
湿度も必要だろうからと小屋の中には大量のストーブとバケツに入った水。
だんだんと暑苦しくなってくる。
素直で真っ直ぐな子になりますように。
卵の周りを取り囲んで、それぞれ自分の願いを心の中で祈る。
恋愛シュミレーションやからな、可愛いに越したことはないやろ。
それなりのビジュアルも欲しい。
｢ひび入ってきた！｣
ぱきぱきと音をたてながら卵にひびが入っていく。
気がつくとそこにあったのは割れた卵。
卵から出てきたのは、可愛らしい女の子。
肩まで伸びた髪。
くりんとした瞳。
色白で、素朴な可愛さがある。
｢初めまして、上野ムラサキです…｣
ムラサキと名乗るその少女は少し恥ずかしげに立っていた。
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作者名：雨宮るん | 作成日時：2024年3月6日 19時
