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なんとかバルコニーに出る扉に捕まって動きは止まるけれど、さすがに冗談じゃない。
｢正門くん、大丈夫ですか?!｣
指は離せないから机の場所から聞くと彼は青ざめた顔で｢そんなことより、後ろ、なんかおる｣と言う。
振り向いてみるけれど誰もいなくて。
そのうちに正門くんは立ち上がって戻ってきた。
｢怖かったぁ…誠也くんなんてこと言ってくれたんですか…｣
｢染色体、出ぇへんな。まだクリアちゃうってこと？｣
もう一度コインに指を乗せて見るけれど『ま さ か と″』を示すだけで何も起きない。
｢まっさんここにおるもんな｣
｢おん、俺こっくりさんに渡されてない｣
恐怖心ないんかってくらいのほほんとした会話を繰り広げる小島くんと正門くん。
どうしよっか、と5人で頭を捻り始めた頃、不意に正門くんが口を開く。
｢やっぱ、後ろにおった｣
正門くんの目線の先には椅子に座る少女の姿。
少女の方へ正門くんが歩き出す。
｢ちょ、正門…｣
誠也くんが止めようとするけれど、リチャくんが首を振って黙らせる。
｢君が、こっくりさん？｣
尋ねるとフルフルと首を横に振る少女。
｢じゃあ、だれ？名前、教えてくれる？｣
続けて問うけれど、だんまりだ。
少しして少女は話し始める。
｢オ水、アリガトウ｣
｢友達、ナッテクレル…？｣
火傷のように真っ黒の肌に腰まで伸びた白髪が余計に不気味さを際立たせる。
｢ええよ｣
正門くんが柔らかい笑顔で答える。
｢ジャア、一緒ニ死ンデクレル？｣
はぁ？
なんか雲行きが怪しくなってきた。
｢は？違う！それは違うやろ！なあ?!｣
誠也くんも少女に向けて怒りを露わにする。
口にはしないけれど他の3人も同じ気持ちのはずだ。
さすがの正門くんも動揺している。
少しの沈黙の後｢ホラ、ソウヤッテスグ忘レル｣と少女は炎を纏い始めた。
｢友だちにはなれるけど、まだそっちには行けへんわ、ごめんね｣
燃えている少女にハグをして微笑むと、少女は光となって消える。
代わりに机に″01染色体″と書かれたカードが残されていた。
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作者名：雨宮るん | 作成日時：2024年3月6日 19時
