GAME1 アニマル合戦 ページ3
「なに、ここ」
目が覚めると周りは森だった。
とりあえずスマホ…とポケットに手を突っ込むが何も入っていない。
いつもなら入れてるんやけどな、と不思議に思いつつも素直に諦めた。
見渡すと、隣で誠也くんが倒れている。
確認すると、息はしているようで一安心。
「誠也くん、起きてください」
肩を叩くと、少し不機嫌そうに目を擦りながら誠也くんは目を覚ました。
「佐野?家におったはずやねんけど…」
「俺もです。
…お迎えにあがりますってこのことなんじゃ…」
なんて軽く会話をしていると、木の影から巨大なカタツムリが顔を出す。
大きさは、熊くらい?
「キモっ?!何こいつ?!無理無理無理…」
誠也くんは騒ぎ出すし、カタツムリはぬるぬると迫ってくる。
あーもうダメだ、そう思った瞬間、宙から人影が。
着物を着て鬼の面をつけたその青年は持っていた番傘でカタツムリを刺した。
「目潰しゃいいんだ、こいつら案外楽に倒せるぜ」
そう言いながら、青年はカタツムリから番傘を引き抜いた。
とりあえず、弱点も分かったし、何か武器…
そう思って近くに転がっていた木の枝を手に取る。
まあまあ太くて長いし、それなりに使えそう。
うようよいる巨大カタツムリは木の枝でなんとか排除しながら森を進む。
途中で出てきた巨大ネズミはさすがに恐怖を感じたけれど、鬼の面の青年が倒してくれたからセーフ。
「なんか急に暗なった?」
誠也くんがそう言うから少し辺りを見回すと、たしかにさっきより暗い。
「あれ、パンダ…?」
暗くなった元凶らしき巨大なパンダ。
さっきまでのカタツムリとは比にならない大きさだ。
木よりもうんと大きなそいつはずんずんとこちらに向かって歩いているようだった。
「潰されるんちゃいます?!」
「やばいな」
焦りが出てしまう。
どうすれば逃げれるかと頭をフル回転させる、そんな時だった。
「ほんとなにしてんのよあんたは!!」
どこからか声が聞こえてきた。
声のする方を見ると、パンダの前の木に登る少年と、その下で顔を青くして喚く少女。
少年は何やらパンダと話しているようだった。
彼がどうにかしてくれる、そんな期待はすぐ打ち消される。
パンダが大きい口を開いたからだ。
「ばか、はやく逃げて!!!」
少女はさっきよりも顔を青くして叫ぶ。
ああ、食べられるんだろうな…そう思って目を逸らした。
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨宮るん | 作成日時:2024年3月6日 19時