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「よっ、と」
学園の裏に回り、、フェンスを乗り越える。
案外簡単に潜入できた。
「源氏先生、これあげる〜」
「私のも食べて!」
窓から廊下を覗くと、女の子たちの人だかりが。
中心にいるのは煌びやかな男性。
あれが源氏くんか。まさか先生とは。
「ムラサキ、源氏くんの第一印象はどう?」
「かっこいいけど…女の子たちすごい可愛いし、わたし不安です」
合流したムラサキちゃんに訊くと不安げな返答が返ってきた。
「大丈夫やで、ムラサキちゃんも可愛いから」
「ムラサキもお菓子あげたらええんちゃう?」
ということでLet’sお菓子作り!
少し危なっかしい手つきで、でもなんとか丁寧に進めていく。
その間に小島くんとふたりで源氏先生の様子を見に行く。
「…学園のアイドルも楽じゃないな。ガキの相手も疲れるし、もっと気の利いたものよこせよ…」
教科準備室には先程と打って変わってやさぐれた様子の源氏先生が。
「ゴージャスかつビューティーな余にふさわしい…例えば、ドンペリ…!」
高らかに笑いながら、女子学生たちにもらったお菓子をゴミ箱に投げ捨てる。
「なんやあいつ、性格悪すぎるやろ」
「早くムラサキちゃんに知らせないと…っ、」
お菓子作り班の元へ急ごうと身体の向きを変える。
ガラッ
準備室の扉が開く。ムラサキちゃんだ。
「失礼します。わたしも先生にプレゼントがあって」
「あぁ、ありがとう。嬉しいよ」
さっきまでの雰囲気は嘘だったかのように明るい笑顔で接する源氏先生に、ムラサキちゃんも嬉しそうに微笑んだ。
カラカラと扉を閉めると、また源氏先生の雰囲気が変わる。
ベチンと音を立ててムラサキちゃんのお菓子が床に叩きつけられた。
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作者名:雨宮るん | 作成日時:2024年3月6日 19時