tell me 先生 × 学秀 ページ33
「重そうですね、運びましょうか？」
『ほんと？ありがとう！』
ここ椚ヶ丘の教師である彼女は、華奢で、どんくさくて、幼くて。
でもたまに、自分が子供なのだと思い知らされる程、大人びている。
『こんなに手伝ってもらってたら学秀くんがいないとまともに仕事が進まなくなっちゃうよ』
呑気に笑う彼女は、本気でそう思って言っているのだろう。
でも僕にとって、こんなに嬉しい言葉はない。
「いつでも手伝いますよ？」
いつもの作って、貼り付けた笑みじゃない。
本当に心の底から湧き出てくる、愛しさから生まれた笑み。
こんなに自然に微笑むことができるのは、初めてで、どうしたらいいのか分からなくなる。
『はい、ここだよー』
着いたのは国語準備室。
こんなに人気がない場所。
鍵をかけることができる場所。
入室と同時に、後ろ手に鍵をかけた。
それはきっと、理性とはかけ離れた何か。
背徳に似た、何か。
『ほんとにありがとう！助かったよー！』
にっこりと屈託のない笑みを見せる彼女を、僕は陥れようとしているのか。
胸が痛んだ。
でもこのまま、こんな苦しい気持ちを抱えているより、ずっといい。
「先生」
『ん？どうしたの？』
……ﾄﾞｻｯ……
準備室に置かれたテーブルの上に、先生の体をそっと優しく押し倒した。
『学秀くん……っ』
僕の下にいる彼女の顔は、紅潮して、瞳が潤んでいて、薄く開いた唇からは、小さく空気が出入りする。
「成績は落ちますか？」
『……っ』
彼女は口をつぐんだまま、何も言わない。
「まぁ、成績が落ちようが、貴女をこの手中に収めてやりますよ」
その言葉に、彼女の頬は、また赤く染まった。
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上弦の月(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！私も書きたいなと思ってます。 (2017年10月27日 21時) (
レス) id: 02138d2871 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - カルマくんの短編集ぜひ見たいです！ (2017年10月27日 21時) (レス) id: 1c27aa94c6 (このIDを非表示/違反報告)
上弦の月(プロフ) - 陽咲瑞姫@先輩と涼介が大好き?さん» ありがと！でもまだ悩んでる。笑 他の作品の更新もあるしなー笑 (2017年8月14日 11時) (レス) id: 02138d2871 (このIDを非表示/違反報告)
陽咲瑞姫@先輩と涼介が大好き?(プロフ) - やばいやばい！カルマオンリーの短編見たいなぁ！ (2017年8月14日 8時) (レス) id: debbed1cb8 (このIDを非表示/違反報告)
上弦の月(プロフ) - 赤羽琴さん» かっこいいですよね！カルマくんちょー好きです！ (2017年3月5日 17時) (レス) id: 02138d2871 (このIDを非表示/違反報告)
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