彼に好きって言ってみた[暗殺教室] (ページ23)

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明度の高い無彩色に × 学秀ページ23

「A？」

『学秀くん？』

後ろから不意に名前を呼ばれて、振り返るとそこには学秀くんの姿があった。

密かに学秀くんを想っていたけど、ちょうど1ヶ月前、私は胸に秘めた想いを打ち明けた。

返事はホワイトデーに、とお願いしたけど、まさかその返事をくれにきたのだろうか。

『どうしたの？』

声が震えていた気がする。

でも仕方がない。

だって返事を聞くのが怖い。

学秀くんって頭が良くて、スポーツもできて、ルックスもいいし、生徒会長だし、性格も凄く良くて、まさに非の打ち所がないとはこのこと。

そんな学秀くんがモテないはずもなくて、女なんて選び放題だろう。

そんなたくさんの中から、果たして私を選んでくれるのだろうか。

私なんて、なんの取り柄もないと言うのに。

「ちょっと来てくれるかな？」

私が頷くと、ありがとう、と言ってどこかへ歩き出した。

着いていくと、学秀くんが足を止めた場所は生徒会室だった。

どうぞ、と言って部屋に促され、中に入る。

学校の他の教室とは雰囲気が違っていて、なんとなく緊張する。

「まずはこれ」

“この前はありがとう”

手渡されたのはお菓子が入ってると思われる、ラッピングされた箱だった。

まさかお返しを貰えるなんて思ってなくて、心臓が早鐘を打ちながら、喜びにひたる。

『ありがとう！』

嬉しくって仕方なくて、泣きそうで。

私、ちゃんと笑えてるかな。

「それから……」

『ん？』

これは返事をくれる予感……。

怖いけど、聞きたくて。

怖いもの見たさって感じの心理が働いている。

「返事だけど、僕も好きだよ」

『……え？』

「ん？」

そこ “ん？” で返されると困る。

でもこんなにあっさりと好きなんて、なんだか夢を見てるみたいで。

実はまだ夢の中でした、なんてそんなオチだったらどうしよう。

『私も、…………私も大好きっ』

「あぁ」

学秀くんみたいな素敵な人が、私を見てくれてるなんて、嬉しい。

胸が踊るんだよ、貴方といるだけで。

うるさくって、痛いのに心地いい、鼓動。

夕暮れの紅は、だんだんと、無彩色へと移り変わっていく。