彼に好きって言ってみた[暗殺教室] (ページ20)

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白いNIGHTMARE × 業ページ20

「A？」

『あ、業！』

私を呼んだのは、1ヶ月前の今日に私がチョコをあげた業だった。

返事に期待をしなかったわけではないけど、業が私なんかのことを好きなんていうのも、それはそれであり得ない。

そりゃあ好きでいてくれたなら嬉しいんだけど。

「これ、お返し」

教室の窓辺。

昼間より紅くなった日射しは、未だ燦々と降り注いでいる。

『ありがとう！』

業が持ってるそのオシャレな箱に手をのばす。

すると、箱を受け取ろうとしたその右手を、業に掴まれて、引かれる。

業の力に引かれて、私が体制を崩さずにいられるはずがない。

『…うわわっ！』

「……ねぇ」

業の声は、いつもより自棄に真剣だった。

『ど、どうしたの？』

「あのチョコ、本命？それとも義理？」

なんでそんなこと聞くの。

そんなの、期待しちゃうよ。

『どっちだろうね…』

どうして今さら、好きって伝えることが怖いんだろう。

1カ月前の今日だって、ちゃんとチョコを渡せたじゃない。

「ちゃんと言って？」

掴んだままの私の手を、さらに引き寄せる。

業の整った顔が近づく。

やっぱりかっこいいって、それをことさら感じさせられる。

『……本命…だよ…』

恥ずかしくって、下を向く。

私業にしか、チョコ渡してないよ。

「そっか」

業、今どんな顔してるんだろう。

私なんかに好かれたら、迷惑かな。

業の表情が気になって、俯いていた顔をあげた。

『えっ……』

「やばい、ほんとにやける」

業の顔は夕日に負けないくらい紅くて、でも綺麗に笑ってて、それもどうしようもなくかっこよくって。

「俺も、好きだよ」

私の手を掴んでいた業の手が、私の腰に添えられてそのまま抱き寄せられる。

それと別の手は、私の頬をゆっくりと撫でる。

「Aも、好きって言って」

頬の手は顎に添えられて、少しだけ上を向かされる。

『……好き…』

そう言った瞬間、私の唇に触れる、業のそれ。

キスだと気付くまでに、暫くかかった。

「遅くなったから送ってくよ」

『あ、ありがと』

“あ” って、何か閃いたように声をあげると、

「いっそ、俺の家にでも来る？」

にやにやしながら、殺し文句を言う。

それは、純白なはずの夜に見る、真っ黒な悪夢のように…………。

▽next▽

前原くん